南瓜の馬車 〜いいわけでも許して〜

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18年ぶりに乗った小さくて軽いハイパワーのバイクに感動(DUCATI MONSTER試乗レビュー)

ヘルニアを長く患った時に、もう自分のバイク人生は終わったなと思った。

が、思い切って手術(6時間!)をして1年半。まだまだ洗面台なんかで微妙に腰を折ると痛むが、日常生活には問題がなくなってきた。で、フと湧き出すバイク熱。最初はもう60歳近いんだから250ccくらいの楽なバイクで・・と思っていたんだけど、身長が162cmに増加して増えた体重のせいで腿が二回りくらい太くなってしまい、いかんせん足が着かない。これなら、考え方としてはおかしいかも知れないけど、最後のバイクとして以前から欲しかったのにすべきかな・・ってことで、DUCATI MONSTERを試乗することにした。もちろん購入を前提として。

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現行モデルのMONSTERは装備重量で180kg台、パワーはもちろんリッターバイクのそれだけれど、跨ってみると両足の先が着く。正直、かなり感激した。今まで片足がちょこんと先っぽだけ着くってバイクばかりだったってのもある。直近(と言っても20年近く前になるが)に乗っていたのは、SUZUKI GSXR750とGPZ600R以外にはHONDA LEAD90くらい。正直、今更乗れるものか?とかなり不安だったが、MONSTERで両足が接地するとその不安は霧散していった。足の長い人、マジで羨ましい。125ccでレースをしていた頃は、体重も軽くて立ち上がりからストレートエンドの速度の伸びでかなりアドバンテージがあった。が、公道を出た途端にそのアドバンテージは無くなる。GSXRの時にはそれなりに苦労したのを覚えているし、過去にCBX1000(6気筒のやつ)やCB900Fとかにも乗っていたわけで、まあ、不可能ってことは無いだろうなと思うのが精一杯で、やはり不安はあった。

で、正確には18年ぶりにバイクに乗ってみたんだけど、最初はやっぱり戸惑ったね。頭では当時の感覚はしっかり残っているけれど、身体がどの程度衰えているか分からない。正直、前の晩は寝られませんでしたよ、マジで。

で、乗ってみた。

音が良いね。若干近所迷惑なボリュームだなと思ったけれど、乾いた鼓動がとても気持ちいい。最初に低回転でクラッチを繋ごうとしたら、ストールしそうな気配を感じたので、つい開け気味にしてギクシャクしてしまったのはご愛嬌。(^_^;)

とりあえずいくつかの動画を見ていて、なんとなく感じは分かっていたが、とにかく軽い。メチャメチャ軽い。250cc?いや、125ccって言ってもいいや。そのせいかフロントの接地感が若干希薄な感じはするが、これはコーナーでしっかりと荷重をかけてみないと分からない。公道でちょっと乗ったくらいだとエンジンフィールと車体の雰囲気程度しか分からなかった。ただ、軽さは正義だなと思うのは、とにかく振り回しやすい。走っているだけではなく、止めて押してみてもやっぱり軽い。いや〜良いね、コレ。

それでも、軽さはともかく、下からモリモリ湧いてくるパワーが、さすがほぼリッターバイク。軽いハンドリングもあってか、低速で後ろから蹴飛ばされるような感覚があって、交差点で曲がるだけなのに、思った通りのラインを維持できないで最初は膨らんでしまった。これはもちろん長いブランクによるものだと思うけれど、当たり前にラフなアクセルワークは慣れが必要かも。まあ、試乗の最後のあたりではもうだいぶ慣れてしまったけど、やっぱりヒラヒラというよりは、下手したらフラフラしそうな軽さがヤバい。ステアリングダンパーが欲しいなと思ったくらいだ。

パワーは充分。というか、試乗車は人さまのバイクという思いがあるので、あまり思い切り回せなかったし、公道だと低速ギアでもなんなく制限速度を超えてしまう。通常、公道で扱うには100HPもいらないのは承知しているし、現実的には80HPもあれば高速道路でも不自由はないだろう。一般道ならさらに下がる。それでも、この車重に111HPは充分強烈で刺激的。しかも、今まで乗ったことのあるどのバイクよりも低速トルクがあるし、その割に神経質でないのが良い。思っていた通り、とても良いエンジンだと思う。年齢を考えても、もうサーキットを走るつもりは無いが、キッチリパワーを使って走ってみたくなる。

そのほかだと、初めて経験するクイックシフター。シフトアップはもともとクラッチを握らずブリッピングだけで行っていたが、店員さんが言うには「アクセルを開けたままで」ということなので、そうしてみたが、意外にガコンと振動が来る。スリッパークラッチがあってもそれなりのショックなので、ここはクラッチを握りたくなる。対して、シフトダウンの際には「アクセルを閉じたまま」ということだが、思ったよりもショックは少なくこれは悪くない。ただ、色々と考えると、普通にクラッチを使った方がスムーズに走れるんじゃないのか?と思ってしまった。まあ、これも慣れの範疇なのかも知れないが、少なくともクラッチ操作を「煩わしい」と思ったことは長くバイクに乗ってきても一度もなかったから、気にすることでもないのかも。

# 追記

# 調べてみると、高回転でないとシフトアップにショックはあるみたい。街乗りなら普通に乗った方が良いかもね。

足回りはハッキリ言って、公道をちょっと走ったくらいじゃなんとも言えない。ただ、スプリングレートはそれほど高くない感じと、アーバンモードで走ったけれどダンパーは伸び側も縮み側も少し遅めかなという印象だった。ここは実際に納車されてからからだろうが、今のところ問題は感じていないし、サーキットにでも持ち込まないとそこまでの懸念点ではないだろう。

そう、つまり・・そのままオーダーしちゃいました。(^_^;)

もうひとつ驚いたのはストッピングパワーだ。さすがBrembo。これにABSと併せるとか最強でしょ。ただ、タッチは少しクセがある、握り始めはパッドがディスクにソフトに当たる感触が伝わってくるが、もう少し握り足すとそこからガツンと食い込むように効く。これも、乗り出してすぐには少し戸惑った。対してリアは少しソフトな感じで、通常だと姿勢制御的に使う僕の乗り方だとあまり違和感はないのだけれど、しっかり踏み込む人だと「甘い」と思えちゃうんじゃないかな?でも、総じてブレーキは良いね。いや、ブレーキ「も」良い・・かな。

そのほかだと、デジタルメーターは初体験だけれど視認性は非常に高く、必要な情報がキッチリ揃えてあるしその配置も良い。操作系も走行中に使うものは今までのバイクと差異はなく、走行モードを変えたり、エンジンの始動スイッチが変わっていたりするのは基本的に停車時の操作なので問題はないだろう。エンジンの発熱は様々なところで語られているが、この寒い時期にノンカウルであることからか、まったく気にならなかった。夏だとまた違うんだろうな。

 

気に入らなかったところもちょっと書いておこうかな。

さきほどは「軽さは正義」と言ったけれど、もう少しハンドリングにシットリ感が欲しい。今の状態だとステアリングダンパーを付けるのが近道だろう。

それと、正直、このヘッドライトは好きじゃない。もう少し位置を高くして丸いライトがやっぱりMONSTERらしいんじゃないだろうか。中央が出っぱってるのは、格好悪いと僕には思える。さらに、プラスに適用されるメーターバイザー。これ、格好悪くない?必要ある?これなら小さめのスクリーンがあった方がありがたい。そうなればプラスじゃなくて普通のにすれば良いと思えるが、普通のMONSTERは受注生産で、色々と手続きがあって納車がかなり遅れるとのこと。だったら、後から外しても良い。価格の差があるが、リアのシングルシートは好きなので、両方とも選択オプションにして欲しかったかも。あぁ、あとひとつ。トラリスフレームが無くなったのはやっぱり残念だ。DUCATIの象徴とも思っていただけに、軽量化のためとはいえそこは残念なポイントだ。

選択オプションと言えば、タンク防護シール?っての?だけ頼んだ。あとはETCだけれど、それは納車時で良いのでその時に考えることにした。

 

再度バイクに乗るのを考え始めて半年。最初はCB250Rにするつもりだったけど、やっぱりパワーが欲しい。ちなみに、CBも跨ってみたが、シートレールが腿に当たって微妙に足付き性を阻害している。車格は跨っているとMONTERと同じくらいに感じた。こっちは、どうも家族が後日購入するつもりらしい。来年のモデルになるだろうけれど。

今はもう納車が待ち遠しいのと、車庫の問題を解決するだけだ。今のところ、近所のトランクルームに空きがあるが、さすがに今から予約しておくのもなぁ・・。納車のタイミングで適切なサイズのトランクルームが空いていれば良いのだけれど。今度はその心配をする毎日であった。