南瓜の馬車 〜いいわけでも許して〜

猫とガジェットと映画と小説の毎日です。

春のヘッドホン祭り2017に行ってきた

今回は正直なところ、行くかどうしようか迷っていた。ここのところ、今の構成で満足していたし、DAPもイヤホンも買い替える、買い増しのタイミングにないと思っていたからだ。ここまでの新製品のニュースでもあまり琴線に触れる物が無かったし、なにより混雑が嫌だったから。

でもまあ、年に何度もあるものじゃないし・・ということで行ってみた。意外なことに会場は空いていて、日曜日の午前中に行ったこと、周囲から流れ聞こえる声からも昨日の方が混んでいたことからタイミングが良かったらしい。

それではその中から僕自身が少し気になっていた機種のみ回ってみた。

Astell&Kern KANN

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値段もお手頃(?AKシリーズにしては?)になった新モデル「KANN」。旭化成のAK4490シングル構成にして、バッテリーとアンプを強化したバージョン・・と言えば良いだろうか。説明員の方によれば「AK380にAK380AMP」を足したような構成とのことだが(AK240と言ったような気もするが、流石に違うだろうなぁ・・)、こちらはシングル構成。とりあえずアンバランスで聴いてみた。

まあ、「普通にAKの音だよね」という感じではある。まとまりのある音作りで、普通に良い音。逆に個性的ではないよな・・といういつもの印象。もちろんそれが悪いという意味ではない。ただね、ポータブルって言うことを考えると個人的にはこのボディのボリューム感はどうかなぁ?と思う。まあ、バッグに入れるんだったら関係無いと言えばそうだけれど、僕は「胸ポケットに入るサイズがポータブルかな」と思う。

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シンプルなのは正面からで、特徴的なのは後部がかなり膨らんでいるところ。手に持ってもバッテリーが6200mAhとAK380の倍近い構成からか、かなりズッシリする。再生時間が長いのは良いこと(最大15時間)だけれど、昨今のようにモバイルバッテリーを常用する人がいる状況を考えるとどうかな?とも思う。コストとのバランスも考えてしまうと、僕の選択肢的にはちょっと無い・・かな。

Fiio X5 3rd

個人的にDAPで気になっていたのはこれ。今がX5 2ndであって、その音がとても気に入っているということもある。価格もお財布に優しい。(^_^;)

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画面だと試聴している曲はクラシックと日本のポップスに見えるけれど、もちろん他にも聴いた。2ndの硬い音はEDMと相性が良い。では、3rdだとどうか?結論から言うと、やはりこれが本命だ。

2ndほどの強烈な個性はなりをひそめ、少し音に柔らかさがある。しかし、それぞれの音の高い解像度はそのままか、それ以上。クラシックを聴くと「もう少し良いイヤホンが欲しいな」と思う。正統進化・・とはちょっと違う気がするが、EDMでもJPopでもクラシックでも何でもこなせる。2ndではクラシックがちょっと苦手な印象があったので、これは歓迎だ。2ndとは傾向が違うので、どちらが良いとは言えないが、その日の気分によって使い分けても良いだろう。サイズが少し大きくなったが、その分、タッチパネルとハードボタンを備え、操作性は上がっていると感じた。ちなみに、Androidモードは使う予定が無いので、Pureモードだけの試聴だった。

ちょっと面白い・・けど、不便かも?と思ったのは、側面のmicroSDスロット。

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iPhoneをお使いの方ならよく分かるだろうが、SIMを挿入するスロットと同様な形式で、スロットを出すためにピンが必要になる。もちろん、専用ピンでなくても良いが、これは少し面倒だ。逆に、この方法なら側面とツライチになるし、蓋を落としたりホコリなどの心配もない。頻繁にmicroSDを差し替えない人ならこれはアリだろう。

ちょっと気になっているのは、ネットでバグの話題が多いこと。まあ、いずれファームは安定してくるから、それ待ちでも良いかなと思う。

ONKYO DP-S1「rubato」 & Pioneer XDP-30R「private」

こちらは音に期待はあまり無かったが、とにかくサイズ感が良いので気になっていた。

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X5と比べるとこんな感じ。

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このくらいがポータブルだよなぁ・・と思う。

音は値段なりというところか。もう少し明瞭さというか高精細感が欲しい。他の機種を聴いてからの試聴だったのでそう思うのかも。これだけ聴いていれば悪く無い。rubatoはどちらかと言うとフラットで、privateよりほんの少し高精細な感じ。帯域が広く感じる気もするが、50代をとうに過ぎた我が身には確信が持てないところ。

privateはどちらかと言うとリスニング向け。特にボーカルが一歩前に出てくるのと、全体的に元気が良い感じだ。とは言っても両者の差はわずか。これが一般的に買われている価格帯のイヤホンやヘッドホンで違いを感じるものだろうか?というとちょっと疑問。

操作性は両者とも微妙に個性があるが、rubatoの方がちょっと使い易く感じた。主にキビキビと動く感じ。privateの方が少しモッサリしている。うーん、ハード構成はほとんど一緒だったと思ったのだけれど。

しかしこのサイズ感は実に良い。胸ポケットにスッポリと入るし、必要最低限のハードボタンも付いている。液晶パネルが少し小さいのが気になるが、これはコストで考えたら充分な選択肢だと思う。

Fitear Custom

これは、シェルのノイズ部分が短いということで気になっていた。ONKYOのIEシリーズも同様で、ONKYO持ちの方、または販売員さんの話しでは「開放感が違う!」とのことだったことが大きい。カスタムは耳にフィットするという点では良いのだが、長時間使用していると閉塞感があって疲れてくる。この部分が緩和できると良いのだがなぁ・・という期待がある。

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さて、試聴。ここで気が付く。試聴機なのだからイヤーチップが付いている。これじゃ実際のところ、期待している開放感は分からないじゃん?である。うーん、作れと言われてもサラリーマンのお小遣いでは冒険するには苦しいものがある。

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これもドライバ構成は公開されていない。あくまで出音で勝負というところだろう。個人的には最近の多ドラ信仰?には懐疑的でもある・・が、はやりドライバ構成が分からないのはちょっと不安?というかお値段的に購入を躊躇する材料にはなる。

あくまでイヤーチップ付きではあるが、音としてはハイブリッドっぽい音がした。低音が柔らかいが少しブーミー、高域の伸びはある。が、334や335と比べるほどではないと言ったところか。僕はフラットな傾向が好きなので、選択肢からは外れてしまう。ハイブリッドかな?と思わせるのは、どことなくSonyのJustearとシェルの表部分が似ているせいもあるのかも。あちらの「リスニングモデル」から、もう少し高域を抑えたような印象だった。

Fitear 334SR & 335DWSR

Fitearの「334」「335DW」のこのモデルは息の長いモデルだ。その内部ネットワークに手を加えたものがStudio Referenceとして追加されたモデル。透明なシェルから内部を見れば一目瞭然だ。

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SRにはコンデンサらしきものが見える。聴いてみた感じだと、元々の334の系譜は受け継がれていて、大きな違いを見いだせなかった。これ、DAPが違えばもっと感じたかも。元々334はボーカル主体で高精細、だけれども音場はあまり広く無く、音を拾うのに適しているという印象だったが、それがより顕著になったかな?と思えた。335DWは低域の量感が多くて聴いてられなかった。元々苦手なのである。

説明員の方の話しだと、もともとスタジオユースではネットワークのカスタマイズ要望は多く、実際に扱っていたものをコンシューマーレベルで販売することになったということだ。ちなみに、334は初めて「カスタムIEM」に興味を持った機種であるという思い入れもあって、聴いてみたいと思った機種である。

64audio A18

圧巻のBA18ドライバ。 お値段、なんと40万円!いや、無理。3年間使っても一日いくらよ?と考えてしまう。でも、一応聴いてきた。

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例によってAPEX機構を備え、ノズルの短くなったBAドライバであるTIA(Tubeless In-ear Audio)を備えている・・が、この試聴機を見てもらえば分かるが、セットされたイヤーチップはComply。うーん、これじゃ分からんのでは?と思う。

案の定、試聴機は高域が殺されて低域がブーミー。実際、18ドライバという多ドラでの音の多さによるざわつき(と僕は感じている)も感じられなかった。この小さな筐体に本当に18個もBAドライバーが載っているの?と思えるほど小さい。これはTIAによるところが大きいのだろうが、正直なところ、バランス的にはA8くらい、少し譲ってもA10くらいで充分だと感じた。多ドラのニーズが大きいことは確かに理解しているから商品としては成り立つのだろう。一方で内部ドライバ構成を非公開にして「出音で勝負」と言っている他社メーカー品。どちらが良いとも悪いとも思わないが、少なくともこのA18の音は雑多な印象を持った。まあ、どの多ドラにも感じることだけれど、それは音数の多さ故のものというよりは、個々の音域を担った複数のドライバ感の調教が今ひとつ・・と感じる。昔のVシリーズのV8はその辺が絶妙で素晴らしい機種だったんだがなぁ・・と思い起こす。というか、買っておけば良かったと今更ながらに思うのであった。

その他

他にもいくつかのDAPやらイヤホン/ヘッドホンを聴いてみたい気持ちはあったのだけれど、とにかく今の僕は体調イマイチであって、人の混雑が苦手・・というよりは危険。なので、上記のものと他に少しだけ試して早々に会場を後にした。イヤホンは既に次ぎに買うものが決まっているので、まずはそちらからだよな・・と思った次第。DAPはX5 3rdで良いと思うが、もう少し製品的に安定してからかなぁ・・。以上が本日のお出掛けであった。