南瓜の馬車 〜いいわけでも許して〜

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【結果あり】MotoGP 第8戦 アッセン オランダGP

今回のレースは「気まぐれなダッチウエザーに翻弄されたレース」と言って良いだろう。なにせMotoGPではゴールしたのは(雨天によるレッドフラッグで2ヒート制になったが)全部で13台。実に8台のライダーが途中で戦列を離れると言う結果になった。Moto3では10台がリタイアしている波乱のレースウィークだ。

 

もちろん、今回のMotoGPの目玉は初優勝を果たしたジャック・ミラーだ。Moto3からのいきなりのMotoGP。ここまで成績を残せず、周囲の目もあり苦難に満ちていたのは容易に想像できる。ダッチウエザーによる天候を克服したラッキーウィンだと見る向きもあるだろうが、終盤にマルケスを引き離す果敢なライディングは彼の実力だと言って良い。これで彼も自信を取り戻すだろう。素晴らしい走りだった。

 今回は残り12周でレッドフラッグが振られ、2ヒート制となったレース。終盤まで快走を続けたのはバレンティーノ・ロッシ。だが、残り11周でまさかのスリップダウンによる転倒。まさに必至でコースへの復帰を試みるがエンジンがかからずリタイア。その悔しさが画面にも現れていた。マルケスは最後のインタビューでも答えていたが、とにかく周囲に惑わされず、自分の走りに徹することで2位を得た。また、転倒し復帰して12位でフィニッシュしたペドロサ、ポイント獲得のために安全なレース運びに徹し、10位を獲得したロレンソ。各ライダーの思惑がそのまま結果に出たとも言えよう。

それにしてもダッチの天候はいつも気まぐれだ。今回はまさにそれをまざまざと見せつけられた。オーストラリア人が優勝したのはいつ以来だろうか?ケーシー・ストーナーの優勝が最後だったと記憶しているが、それだと既に6年ほど経過しているだろう。勝てないことによる周囲からの圧力、そしてダッチウエザーによる天候の変化にも果敢に攻めた走りを見せたジャック・ミラー拍手を送りたい。同時に新しい世代の台頭も少々感じるレースであったと思う。

 

そしてそして、Moto2。ついにやってくれました!中上選手、初優勝!!

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前々回のレースから感じていたことで、前回のエントリーにも書いたが、中上選手のマシン、フロント周りのフィーリングが良くなっているのが分かる。リーンまでの速度の向上、スライドコントロールのしやすさが向上もしているのだろう。シーズン序盤でどうもフロントの接地感に不安を感じているような様子がまったく無くなった。進入でのラインの自由度が高まったことで、パッシングに無理が無くなった。それが同時に立ち上がりでの更なる加速を得た格好だ。タイムを稼ぐのはやっぱり加速なのである。明かに今までに比べ、中上選手の走り、マシンの挙動が格段に良くなっている。前回のレースで福田充徳さんに自信を見せるインタビュー回答を見せてくれたが、こう直ぐに結果を出せる辺りがやはり並みのライダーではないのだろう。ちなみに、日本人としては33人目の優勝ライダーとなるらしい。

 

途中から降り出す雨で変わるコンディションにも臆すことなく果敢に攻めていく。残りの周回が少なくなり、ザルコに迫られる一面を見せたが、その前に築いたアドバンテージ、更に雨による赤旗中止ということもあってレースが終わる直前に優勝を決めた。もちろん、タイム差を考えれば残りの周回でザルコにパッシングされる可能性は低かっただろうが、コンディションの変わる中でトップを快走する中上選手を見続けるこちらもドキドキとハラハラが止まらない。途中で優勝が決まった瞬間に思わず出たガッツポーズに合わせるように、僕自身もホッと胸をなで下ろした。いやぁ〜、やってくれました。バイクレースは自分が走り始めるちょっと前、高校生の頃で、その頃にはケニー・ロバーツが圧倒的に強かった。それから何人もの日本人ライダーが出てきているが、表彰台の中央に立つ中上選手を見て、久し振りに興奮した。いやー、素晴らしい。

 

今のマシンと中上選手の成長を考えれば、まだまだ今シーズン、残りのレースで表彰台の中央に立つ中上選手を見ることができるだろう。そのくらい今回のレースは良かった。 

 

で、最初に話しを戻せば、やはり今回はダッチウエザーに翻弄されたレースウィークであったのだが、その中でもそれぞれのライダーの思惑、戦略が如実に結果に表れたレースでも あったと思う。個人的には晴れの路面で限界ギリギリで走るライダーがせめぎ合うのが好きだが、こういった状況に合わせる戦略が見られるレースもそれはそれで面白い。次ぎはドイツGP。ザクセンリングだ。今回の好調さを持続していって欲しいと思う。