南瓜の馬車 〜いいわけでも許して〜

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【結果あり】第2戦 アルゼンチンGP

ここのところ体調がイマイチで、このエントリーも遅くなってしまった。そもそも録画を観たのが随分経ってからでもある。

さて、今回のアルゼンチンのコースは、中低速コーナーが入り乱れるテクニカルなサーキットだ。ストレートこそ1kmあるが、平均速度はそれほどではない。印象的には細かいS字が多く、抜きどころの少ない感じを受ける。

今回は予選から決勝にかけて雨交じりの不安定な天候のせいか、グリッドポジションがいつもと様相が違う。マルケスは順当としても、セカンドポジションにアブラハム!(大変失礼)。直前のMoto2でもハーフウェットの状況で、各社のタイヤ選択が微妙になるシチュエーションだろう。

スタートで飛び出したのはやはりマルケス。そして、どうもDucatiにまだ馴染めないでいるのか、予選でも低迷していたロレンソがイアンノーネに絡んで1コーナーの進入で転倒。うーん、どちらが悪いとも言えない状況に見えるし「運が無い」としか言えない。力のあるライダーであるのは分かっているので、次戦以降、徐々に上位に食い込んでくることを期待したい。

そのマルケスだが、なんと4周目の2コーナーでスリップダウン。1コーナーからS字を切り返し、若干のブレーキングをしつつ進入するコーナーで、本人もあっという間であったと想像する。その後に同じチームのペドロサも同様のポイントでフロントからスリップダウン。リアが若干ホッピングして「ヤバイ!」と思った瞬間にフロントがふらつき、そのまま転倒。レプソルHONDAにとって、最悪の結果となった。やはり(これも個人的にだけれど)リアに問題があるように思える。

対するYAMAHAだが、前回のビニャーレスの安定した走りは健在だった。タイヤチョイスも良かったのだろう、中盤にトップに上がるとハイペースで飛ばし、終盤では3秒以上のアドバンテージを残して余裕の走りだったように思う。

 彼の巧さは、昨年Moto2から上がってきたとは思えない。MotoGPとMoto2のマシンの違いをすぐに吸収してみせたビニャーレスは、YAMAHAにマシンをスイッチしても変わらなかった。レース全体を、ペース、タイヤマネジメントを含めてコントロールし、マシンの挙動も非常に安定していた。マルケスがリーンの初期でフロントをこじらせるようにねじ込んでいたのとは対照的で、大きくラインを外すこともなく、立ち上がりで荷重が抜けているハズのフロントがふらつくこともない。リアも進入でこそ少しアウトに振るような動きはあるが、その挙動はロッシと比べても滑らかだ。逆に言うと面白みには欠けるのかも知れないが、シーズンを通してチャンピオンシップを目指すライダーというのは本来こういうものだと思う。

対してロッシはやはりフロントの挙動に少し不安を感じているように見えた。クラッチロウが進入のブレーキングでかなりアグレッシブに突っ込んでいるのは分かったが、ロッシはそこまで突っ込めていない。フロントを揺らしながらコーナーに入ってくる姿はちょっと恐い感じもするのだが、そこは流石としか言いようのないロッシのコントロール力だろう。予選で中位でも、本番になると常に上位に食い込むロッシは、やはりスーパースターなのだと思う。若い頃のロッシの走りを覚えているが、走りの華やかさみたいなものがある。当時は危なっかしくもあったが、今はもう「巧い」の一言に尽きる。流石ロッシ。

そのロッシを前半抑えていたクラッチロウだが、後半にタイヤが終わったか?という感じで、ブレーキングに生彩さを欠き、ロッシに前に出られてしまう。クラッチロウは転倒が多いイメージだが、個人的に好きなライダーでもあり、最後までハラハラして見ていたのだが、最終的には3位表彰台をゲットしてレースを終えた。マシンの性能差を考えれば充分なリザルトだろう。おめでとう、クラッチロウ。

さて、もう一人注目していたのは、前回のレースで序盤に驚異的な速度で逃げたヨハン・ザルコ。今回はトップグループに肉迫しながらも、結局食い込むところまでにはいかず、ズルズルと順位を下げ、結局11位でレースを終えた。前回も書いたが、ザルコの走りはMoto2の頃のものに近いと思える。速い速度を保ったままでのコーナーへの進入、リーン時間が長く、結局脱出時にMotoGPのパワーを充分に扱えないだけではなく、タイヤの損耗にも繋がる。それが「ザルコの走り」だというのなら、きっとそうなのだろう。しかし、個人的にはそれでは勝てないと思う。立ち上がりでマシンを起こしてグリップを稼ごうとしているのは分かる(ペドロサもやってるが)のだが、MotoGPの強大なパワーをしっかりと、そして効率的に路面に伝えるのは難しいと思える。しかしそれでもザルコの走りには魅力がある。今後に期待した。

今回は日本人ライダーたちはMoto3の鈴木竜生が8位と検討。しかし、期待のMoto2の中上は、ファーストラップの第1コーナーで、ハーフウェットの路面にフロントを掬われた感じで、外側にいたレミー・ガードナーを巻き込んでクラッシュ。残念な結果に終わった。うーん、次戦に期待したい。

次ぎは二週間のインターバルを経て、アメリカズカップ。右に左にと忙しいコーナーが続く。HONDAの巻き返しがなるか?がポイントだと思う。いやぁ、やっぱりバイクレースは美しい。