南瓜の馬車 〜いいわけでも許して〜

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【結果あり】MotoGP 第14戦 スペイン アラゴンGP

今シーズンも残りわずかになってきた。この頃になると、無性に寂しくなると言うか「もっと見ていたい!」という気分になってくる。特に今シーズンはレギュレーションの変更によってか、初優勝のライダーを4人も出している面白いシーズンでもある。うーん、切ない。

 

さて、今シーズン色々な意味で「台風の目」にもなっているイアンノーネが欠場。金曜日の予選で転倒、椎骨に軽度の骨折を負ったということで、無理をしない選択をしたらしい。来シーズン、新しいチームに移籍することもあり、ここは無理をしないということだろう。ポールポジションはHONDAのマルケス。前回にも書いたが、ここ数戦でやっと各車の熟成が増し、完成度が上がってきた。それにより、ここ数年、上位を走るライダーたちが安定した走りを見せるようになってきている。今回のレースも、各車良い感じに仕上がっているように思える。

 

レースは最初からサイドバイサイド。ビニャーレスが勢いよく飛び出し、後続を引き離しにかかるかと思われた。が、そうは簡単ではない。マシンが良く仕上がってきているマルケスがちょっと強引にビニャーレスの前に出て真っ先にコントロールラインに戻ってきた。

しかしそのマルケス、何故か突然進入でペースが落ち、一気に4台に前に出られてしまう。

うーん、上空からの映像からだと今一つ理由が分からない。そうこうしているうちにスローの映像が出る。原因は、進入でフロントが滑って派手にインに切れ込んでいる。ちょっと鳥肌が立った。しかし、これで転倒せず、持ち直すところが凄い。凄すぎる。マルケスは、以前にもこういうシーンを見せているし、こういった天性のマシンコントロールはちょっと常人では考えられない。まあ、トップライダーを「常人」と考えてもいけないのだろうが、それでもマルケスのそれは飛び抜けていると言えるだろう。

さて、レースはこれでまたビニャーレスが逃げる格好になった。タイトなラインでビニャーレスを追うロッシ。 こういう時のロッシはしたたかで巧い。前に出たライダーを逃がさないのがロッシの巧さでもある。

マルケスは残り17ラップのところでロレンソの前に出るが、前の2台には徐々に遅れている。ロレンソのペースが上がらない?感じもするが、この辺はタイヤ選択の難しさもあるだろう。予選で40℃を越していた路面温度は、決勝で31℃。各車、ハードとミディアムをそれぞれ組み合わせてレースに臨んでいる。

しかし、ロレンソの前に出たマルケスはペースを回復。ビニャーレスを追走し始めるのと同時にロレンソのペースも徐々に上がってくる。そのビニャーレス、残り14ラップで進入で痛恨のブレーキングミス。これで無理をしない作戦にしたのか、今度はビニャーレスがジリジリと遅れ始める。この時点で順位はロッシ、マルケス、ロレンソと続く。

 

やっといつもの上位陣が戻ってきた感じだが、レースはまだまだ動く。逆に言えば、各マシンの安定感がライダーへの安心感に繋がっているんじゃないかと思う。強い3者がそれぞれの力を出し合っている感じが良い緊迫感を生んでいる。残り12ラップでマルケスがS字で強引に前に出る。この両者の競り合いは過去の経緯もあることからちょっとヒヤヒヤする。ロッシは抜くポイントを探るようにも見えるが、残り5ラップくらいから徐々にマルケスが逃げて行く。同時にロレンソもロッシに追いつき、ついに前に出る。ロッシのペースが落ちているのかも知れないが、解説によればロッシはこのコースで勝ったことが無いらしい。その辺の苦手意識みたいなものがあるのかも知れない。

残り4ラップ、この時点でマルケスがペースを落とさない良い走りを維持し続け、結局そのままゴールラインを真っ先に走り抜ける。ロレンソとロッシのチームメイト同士のつばぜり合いは最後まで続く。同じチーム同士で負けるわけにもいかないし、ロレンソは来シーズンにDucatiに移籍していることも決まっている以上、ロッシも簡単に負けるわけにはいかない。

ただ、このコースを見ていると、意外に抜くポイントが少ない。コース幅が狭いということも無いのだろうが、ロッシがもうひとつ届かない。結局、残り2ラップのところで強引にインに飛び込んだがそのままコースアウト。タイヤの消耗が激しい終盤で無理をし過ぎたか?ロッシが焦るということも無いだろうから、ここはタイヤだと思える。実際、レース後に青木宣篤さんの解説で、各車、タイヤ選択が厳しいというコメントも出ていたので実際そうなのだろう。

 

結局、レースはそのまま少し感覚を開けてマルケス、ロレンソ、ロッシの順番でゴールイン。マルケス、久し振りだなぁ・・と思ったら、ドイツGP以来で5レースぶりらしい。しかしそれでもマルケス、ロッシのポイント差は52ポイント。今回、更に広がったことからも、ロッシの挽回はとても難しくなってきた。

 

また、レース後、青木さんがマルケスは左回りが得意だと解説していた。個人的には逆だと思っていたので意外。右回りでリアを流して強引にアペックスに持って行くという認識でいたのだけれど、よく考えれば左回りで抜いているポイントが結構多い。そういうもんか・・と納得しつつ、でも、マルケスはその素晴らしいバランス感覚で操るからこそ、転倒もしないし抜くポイントが多いとも思っている。どちらが得意というレベルでも無いのだろうなとも思う。

さて、次ぎはとうとう第15戦、もてぎでの日本GPだ。ここ数年、実際にコースに足を運んでいないし、僕の足の状態では無理でもあるのだが、やはり血が騒ぐというか。各車、果敢なレースを期待した。