南瓜の馬車 〜いいわけでも許して〜

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PHIATON MS400

一目惚れだった。


僕は前のブログでは散々書いているけど、ヘッドホンが大好き。通常は電車通勤ってこともあってBOSE QC3を愛用し、ここ一年くらいは新しいものの購入は控えていた。ある日、いつものように池袋のビックカメラに行き、ヘッドホン売り場に行くと、すぐに目に飛び込んできたのはこの赤いヘッドホン。一瞬にして心を奪われた。もちろん、この時点では肝心な音質までは分からない。それでも、最初に見た時に音質はともかく、これは手に入れようと心に誓ったのである。

で、数日後に毎月のお小遣いをはたいてこのヘッドホンを手に入れたので、早速感想を書いてみようと思う。ちなみに、まだ製品が発売されてから間もないためか、ネットではこの製品の情報はほとんど得られなかった。

まずはデザインから。

もう、本当に一目惚れ状態だったので、まさに「恋は盲目」。基本はポータブル用のサイズだとは思うが、手持ちのQC3と比べるとイヤーカップが一回り大きい。最初はオンイヤーだと思ったけれども、これはほぼアラウンドイヤーだと言える。耳の大きな人には耳たぶがはみ出るかも知れないが、僕には適当な大きさだった。逆にこれ以上の大きさは仰々しくて屋外に持って行くには若干気後れする。


見て分かるとおり、こいつのインパクトの強さは赤いヘッドバンドとイヤーパッドによるところが大きい。その鮮烈な赤は誰が見ても一瞬ハッとするのではないだろうか?シープスキンとのことだが、手触りも良い。さらに、イヤーカップにはカーボンファイバーを使ってあり、まるで「フェラーリ」のような様相だ。ポータブルのため、このイヤーカップは内側に折りたたむことができ、収納時にはコンパクトになる。QC3はこれができなくて、バッグの中でかさばるのだけれども、こいつはそんなことは無い。とにかくこのインパクトの強いデザインは僕のツボにはまったのである。

コードは両出しで1.5mの長さを持つ。僕は通常Bluetoothの受信機を使っているので、これでは長すぎる。仕方がないので、コードを直径5cmくらいの円形にまとめて使っている。コード本体は細くもなく、太くもなく。ポータブルとしては適正だと思う。ネットではコードが細すぎるとあったけれども、正直???な発言だと思う。コードは若干芯が通ったように固め。蛇足だけれど、これは手持ちのUE 10Proのコードに似ていると感じた。

次はフィット感。

側圧は弱めだと思う。QC3よりは若干強いが、このくらいが適度だと僕は感じる。強すぎず頭にフィットし、それでいてズレるほどの緩さも無い。ヘッドバンドの頭頂部への当たりも同様で、きつい感じは一切無い。実に軽快にフィットすると言える。ただ、イヤーカップの大きさが小さめのせいか、長時間装着していると若干耳が痛くなる。僕の場合は通勤で使う1時間から2時間くらいの使用なので問題は無いが、さすがに数時間は着けていられないだろう。この点はQC3がぶっちぎりで優れている。耳に当たるイヤーパッドは柔らかく気持ちが良い。この季節だから少々暑いのかなとも思ったがそれほどでは無く、何とか夏を乗り切れそうだ。意外だったのはQC3の方が暑いという点。あの快適なイヤーパッドはその形状の故か、空気が通らないんだろうな。初めて気がついた。

さて、肝心の音質に移ろう。

先に言っておかないといけないと思うのだけれど、僕は長い間QC3を愛用していた関係で、ノイズキャンセリングとかなりの低音の量で無いと満足できなくなっている。その分を出来る限り排除して書いてみたい。

全体的にフラットだとは思う。敢えて言えば、若干低音が強めかも知れない。低音はBOSEほどではないが量は多め。ボア付きは少ないが若干ある。音自体は結構低いところまで出ている印象だ。中音は比較的前に出ており、ボーカルがとても聴きやすい。特に女性ボーカルが合う印象を受けた。高音はバリ付きがなく、抑えめでキラキラ感は感じない。僕は高音のギラついた音が嫌いなのでこれは好印象だが、人によっては物足りないと感じるだろう。音場はこのカップの大きさに準じている感じで、もの凄く広くは無いが狭くも無く一般的。QC3に比べると広いが、感動するほどでは無い。各楽器はそれぞれキチンと距離を置いて鳴っているという印象で、変に濁ってしまったりすることも無い。分離は良い方だろう。個人的には音の数が凄く多く感じる。これは、QC3が低音にマスクされてしまって他の音を巻き込んでいるからで、むしろこれが普通なんだと思う。ただ、QC3はそれも「味」と感じさせるうまさがある。音に包まれている感じが何とも言えないのだ。MS400にはこれが欠けているが、これも他のヘッドホンと比べて劣るものでは無いと思う。久し振りのアラウンドイヤーはやっぱり抜けの良い印象で、新しい音を手に入れたと感じた。

・・と、ここまで書いていて思いついた妥当な言葉は「いたく普通」という感じだろうか。高音も中音も低音も主張が少ない。良い言葉を使うとすれば「なめらか」だろうか。決して不満では無いが、特別凄いとも思わない。まあ、価格なり(24,000円くらい)というところか。

でも、QC3と比べると久し振りに奥行きのある音を聴いて、実に楽しい。ヘッドホンを好きな人はこれだからスパイラルが止まらないのだと思う。

現状でのもっとも不満な点は、遮音性だ。これも一般的なヘッドホンに比べてフィット感が良いためか、おそらくそんなに酷くは無いんだろう。いや、むしろ良いのかも知れない。でも、僕が今まで使っていたのは、BOSE QC3なのだ。これに比べると雲泥の差。QC3はイヤーパッドの形状、質、そして強力なノイズキャンセリングのおかげで、実に静かな鑑賞環境を作ることができる。音質的にはMS400の方が一般受けするだろうが、一度QC3にはまった身としてはいささか物足りないというのが実感だ。

総じて・・

悪くはないと思うけど、デザインとフィット感が良くなかったら敢えて買わないかも(苦笑)。でも、手持ちにはこのタイプのヘッドホンは存在しないので、そういう意味では所有する意味は大いにあると感じている。何より、毎回思うのだけれど、「新しい音に出会った喜び」が十分ある。今は毎日、このヘッドホンで音楽を聴くのが楽しくて仕方がない。