南瓜の馬車 〜いいわけでも許して〜

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【結果あり】MotoGP 第10戦 オーストリア レッドブル・リンクGP

第10戦、オーストリアでのGP開催は、実に19年ぶりだそうだ。コースも新しいレッドブル・リンク。コースレイアウトを見ると、個人的にはストップ・アンド・ゴーでHONDA有利かな・・と思ったが、解説の中野真矢さんによるとアップダウンのある高速サーキットでDucati有利とのこと。うーん、そう?ストレートは626mでそれほど長いわけではないが、鋭角な3コーナーから緩いS字から4コーナーまでは登って下ってと開けっ放し。特徴的なのはストレートエンドの鋭角な3コーナーもそうだが、直角の右コーナーが3つ連続し、しかもホームストレート後の1コーナーは下りながらの突っ込み。かなりタイヤに負担のかかるレイアウトに見える。また、コース幅がやたら狭く見えるのだが、実際には13mとのことで他のサーキットと同様なようだ。僕は大抵、自分が走ったら・・という視点でコースを見ることが多いのだけれど、僕が走るとしたら苦手なコースだと思う。

 

さて、レースではスタート直後の混戦で1コーナーで早めにインについたマルケスが、アウトにいたロレンソを弾き出すシーンで幕を開ける。一瞬ヒヤリとした瞬間だ。個人的にHONDA有利と書いたが、中野さんによるとHONDAは事前テストが不足しているとのことで、マルケスもペドロサも今ひとつコースを攻めあぐねている様子が分かる。特に1コーナーと3コーナーではたびたびラインを変えているのか、ブレーキングポイントでミスをしているのか分からないがリーンからの脱出が遅い。もちろん混戦のなかでレコードラインを必ずしもトレースできるわけではないが、全体的に生彩を欠いて見えるのもそのせいなのか。ただ、いつものようにマルケスはかなり攻めているのは分かる。進入でいつものように前後のタイヤをスライドコントロールしつつ飛び込んでくる・・が、今ひとつラインが定まらない。

 

対してDucatiは明らかに安定しているし、コーナーからの脱出からストレートへの加速が速い。特に3コーナーから4コーナーにかけては後ろにつくロッシとロレンソが、序盤は食いついていたものの、中盤には徐々に水を開けられていく。個人的に、中野さんの話を聞いていなくてもコースの習熟度が違うんじゃ?と思わせるシーンが多々あった。
21周目(だったかな?)にドヴィチオーゾとイアンノーネのワン・ツーが形成されると3位との差は徐々に開いていく。これは、ポイント争いをしている上位3台には、チャンピオンシップを考えると無理して転倒するよりは、ポイント差のある2台には先行を許しても良いという判断があったのじゃないかとも思える。なにしろ後半戦の貴重なスタートレースでもある。無理して転倒/リタイアでもしたら目も当てられない。

 

そのためか、序盤こそアグレッシブにアタックしていたロッシとロレンソも、中盤にDucatiに逃げられ始めた辺りから守りのライディングになっていたように思う。ただ、ロレンソとしてはここ2戦、貴重なポイントを逃していることもあり、慎重にならざるをえない状況もあるだろう。しかし、カメラがほとんど先頭の2台のDucatiを追いかけていたので、他車の走りがほとんど見ることができない。マルケスは思うようにライン取りができないなかでも果敢なアタックを見せているのは分かるのだが、なにしろ画面に小さく映るだけなのが多く、分析的に見ることができなかったのが残念。できればペドロサも含めてHONDAの走りを見たかったのだが。

 

SUZUKIのビニャーレスもマルケスの後ろでギリギリのアタックをしているのが見える。ブレーキングで大きく流れるテール、フロントも微妙にバンピングしているように見える。しかし、それも長くは続かなかった。中盤になってズルズルと後退すると、YAMAHAの2台、そしてマルケスと共にDucatiに逃げられる格好になる。

 

そして残り7周というところでイアンノーネが前に出る。その時点でイアンノーネが前後に柔らか目のタイヤを履いていたことが分かっていたが、このコースレイアウトからもタイヤには厳しく、特に右側の消耗はレース後半での命運を左右すると思われた。しかし、意外にも先に音をあげたのはドヴィチオーゾの方だった。ブレーキングでなんとかイアンノーネとの差を詰めようとするが、立ち上がりでイアンノーネが逃げる。ヘリからの空撮映像でもハッキリとイアンノーネのマシンの伸びが良いのが分かる。コーナーの脱出速度が速いこともあるだろうが、マシン自体もイアンノーネの方が立ち上がり加速に優れているように見える。ただ、ドヴィチオーゾがレース終了後のインタビューで「マシンの状態は完璧だった」と述べていることから、ここはやっぱりタイヤの選択の差が大きかったのかも知れない。
しかし、それを考慮しても今回のイアンノーネは乗れていたと思う。進入からリーン、クリップからの脱出までを最もスムーズに繋いでいたのはイアンノーネだった(もちろん映像に映っている範囲で・・だが)。

 

結果として、イアンノーネとドヴィチオーゾのDucatiワン・ツーでゴールラインを割った。イアンノーネ、初優勝おめでとう!そして7年ぶりのDucatiの優勝、ワン・ツーとなるとかなり前のことだ。ゴール直後のピットのスタッフの狂乱ぶりが印象的だったが、当然のことだろう。この日はDucatiにとって最良の一日になったに違いない。今シーズンは色々とトラブル続きで良いところが無かったイアンノーネだが、これで悪い流れも払拭できたに違いない。
また、ピットにケーシー・ストーナーとミック・ドゥーハンの姿があったのも印象的だった。彼等もDucatiの開発に大きく寄与し、成果を出したということだろう。

次戦は一週間後。チェコのブルノだ。個人的にこのテクニカルなコースレイアウトは面白いサーキットのひとつだと思う。コース幅も広く、パッシングポイントが多いからでもある。しかしどちらかと言うと、実際に走ってみたいな・・という思いの方が強いかな。Ducatiの快進撃が続くのか?個人的には次こそHONDAの巻き返しを予想している。それにロッシとロレンソの2台のYAMAHAがどう絡むかが見所じゃないかな・・というとDucatiに失礼か。(^_^;)