南瓜の馬車 〜いいわけでも許して〜

日常生活で思うこと、電子ガジェット、オーディオ、映画、小説を紹介するサイトです。

上半期で観た200作から2作を選んでみた

今年も今日で半分が終わり。時間の感じ方は人生の総時間の割合だと思っているが、速いこと速いこと。もう半年終わりかと思うと人生の残り時間を考えることも無理なからぬことと思える。

 
さて、半年経ったところで今年の上半期に観た映画の中から、印象的だった2作を紹介しよう。ちなみに、この2作は劇場で観たものがひとつ、もうひとつは初見のBDからである。ちなみにここまで合計で200作ほど観ている。気に入って重複しているものもあるが。
 
まずは劇場で観た「はじまりのうた」から。
主演はキーラ・ナイトレイ。端的に言えば、恋人(なんと、Maroon5アダム・レヴィーン)と別れたばかりの売れないシンガーソングライターが、これも没落したプロデューサー(マーク・ラファロ)と出会い、歌を通じて自らの人生を取り戻していく物語。
キーラ・ナイトレイは実はいくつかの映画に出演していたのだがあまり印象にない。何となく容貌が若い頃の水沢アキに似てるなぁ・・と思いつつ、特に前知識なしで家人に促されて観に行った。家人はアダムが出てるってことで興味を持ったのだが。

 
最初は暗いスタートから時間軸をいくつか入れ替え、仲間と曲を作りながら恋人との別離を乗り越え、自身の本来の人生に温かさを取り戻してくる。楽しくて善良な仲間たち、巧くはないが憂いをたたえたキーラ・ナイトレイの歌声が心にしみ入る。ストリートで録音をし、仲間でワイワイと楽しく曲を演奏し歌う姿を観ているだけで幸せな気分になる。一緒に仲間に入れてくれ!と言いたくなる。
キーラ・ナイトレイの心の移ろい、立ち直る姿に加え、マーク・ラファロのちょっとスレた演技がとても良かったのと、最後のアダムの「Lost Stars」がちょっとジンと来た。
 
結局、CDも買って映画全般を流れる雰囲気を今でも楽しんでいる。あまり話題にならなかったが良作であると思う。
 
もうひとつは「JUNO」「マイレージ・マイライフ」の監督をつとめたジェイソン・ライトマンの作品、ヤング≒アダルト。こちらは「マイレージ・マイライフ」がとても良かったのでBDを買ってみたのだが、ここ半年の中では一番のお気に入りの作品となった。
主演はシャーリーズ・セロン。個人的にどうしても「イーオン・フラックス」の冷たい美女という印象があるのだが、本作ではそれに加えて「キレたオンナ」を演じている。

 
都会で小説家(ゴーストライターだが)をしているセロンが、その最終話の執筆に悩んでいる。元々自らの体験から書いた小説のようで、自身の故郷での恋愛に重ねてあるのだろう。それが実らぬ恋であったことが執筆を詰まらせている要因ではないかと思う。そんなときに故郷にいる当時の恋人が子供の写真を送り、誕生日パーティへの招待を促すメールが届く。恋人はまだ自分に未練があるんだと自ら相手の心情を妄想全開で構築し、田舎に押し寄せて一騒動・・そんな映画である。
 
シャーリーズ・セロンってそんなに巧い役者がじゃないと思っていたが完全に覆された。冒頭からの飼い犬の扱い、切れたプリンタのインクをツバで足してみたりその生活が荒んでいるのが分かる。自分の小説が行き詰まっていることもあって、妄想としか言えない元カレの自分に対する未練という自信を胸に、故郷の田舎に猪突猛進するのである。
そこで味わった現実。当初は美しく、都会で垢抜けた自分に対する優越。しかし物語が進むにつれ、こんな田舎の人間たちに憐れまれていたことに気付き、パーティの最中にブチキレる。周囲にとけ込めず、たったひとりだけ、同性愛者と誤解されヘイトクライムに遭い、同じように心に傷を持つ友人、マット(パットン・オズワルト)だけが唯一の慰めだった。
そのブチキレ型が凄かった。テレビの前で息を飲んだとはこのことだ。都会で名声を得て、美人で垢抜けたアタシ。なのにどうしてみんな分からないの?!この扱いはなんなの?!!そこでやっと妄想から現実へと突き放される。いや、ホントに凄かった。ドン引きって言うより恐かった。しかしこれで彼女はやっと現実に戻ることができた。
 
時折挟まれる小さなギャグが良いスパイスになっているのと、パットン・オズワルトが終始優しくて穏やかで癒してくれる。これが無かったらただのキレたオンナの映画になっていたかも知れない。
最後に壊れた愛車(ミニクーパー)と同じ姿になった自分を見つめ、都会に行きたいとねだったマットの妹に「あなたにはこの町が似合ってるわ」と言葉を投げかける。彼女は自分の身の程と、都会の厳しさを暗に伝えたのだと感じた。
 
最後に自分と重なる愛車と共に都会に戻る姿は、「こんな自分だけど進むしかないわね。」という決意の現れだと思う。こちらも印象に残る素晴らしい映画だった。
 
この2作を選んでこのエントリーを書き終わってみると、実に対照的な女性が主人公なのに、同じような強さと温かさを感じるのはどうしてだろうなぁ・・と思ったのでした。
 
追記
パットン・オズワルトが彼女を見つめる目。確かに彼女が好きだったのだろうけれど、本当に優しさに溢れた目が温かくて、こんな友達が身近にいたら良いのにな・・と思った。彼はコメディアンだそうだが、役者としても良い味を持ってるなと感じた。