南瓜の馬車 〜いいわけでも許して〜

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ダンサー・イン・ザ・ダーク(魅了された映画)

気温はそれほど低いわけじゃないが、湿度が少し少ないくらいの今日。空気感は秋。この空気感って気温とかあまり関係ないんだなぁ・・なんて今更思ってみたり。風の匂いだったり目に入る木々の彩りなんかでもそういうことを感じるんだろうね。

 

さて、今日はダンサー・イン・ザ・ダークについて書いてみよう。

 

 

この映画、「後味の悪い映画」ってことでよく話題になる。個人的には後味で「ミスト」に敵う映画は無いと思うが、「ダンサー・イン・ザ・ダーク」も主人公の死で幕を閉じるわけで、他の結末も選択できたんじゃ?と思うと確かに後味はあまり良くないんだろう。

でも僕はこの映画を観た時に「あぁ、セルマは勝ったんだな・・」と思った。実はこの映画、「救いようが無い映画」との評価を色々なところで見ていたので敬遠していた。たまたま家人が印象に残った映画だからと今年になってBDを買ってきたのでやっと観たのであった。
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評価の分かれる作品であることは間違いない。セルマがもう少し融通が効く性格だったら、ビルとのやりとりを「友人との約束」として守り続けはしなかっただろう。だがセルマはそれを選択しなかった。それはセルマ自身の正義や誠実さを毀損してしまうからだと思う。結果的にセルマは絞首刑に処されるわけだけれど、彼女が唯一望んだ「息子の幸せな未来」は守られた。セルマの強い強い意志で。どんなに恐ろしくても、どんなに理不尽なことでも貫き通したセルマの強さに感動の涙が頬を伝った。僕にとってこの映画はセルマの勝利の物語なのである。
 
映画はセルマの目の不自由さを現すかのような暗い画面から始まる。しかし彼女はミュージカルの舞台で歌い、踊ることを夢見ており、映画の中でも彼女が妄想で歌い出すと一気にカラフルな映像に切り替わる。その姿が美しいだけでなく幻想的であり、それに加えて彼女のシンガーとしてのユニークさが映像を際だたせていると感じる。最後の場面での妄想は、ある意味彼女の夢の実現に通じるものがあるのだと感じる。もちろんそれが虚構であっても、彼女にとってのリアルなのだろうなと思う。
 
繰り返しになるが、彼女は彼女の誠実さを保ったまま、苦しみに打ち勝ち、望みを勝ち得たのだと思う。確かに憂鬱になるストーリーと描写ではあるが、久し振りに重厚、且つ、生きる正義のようなものを見た映画であった。