南瓜の馬車 〜いいわけでも許して〜

猫とガジェットと映画と小説の毎日です。

ポータブルアンプ DDA-LA20RC

実は積極的にイコライザーを弄る派です。

さて、今日もポータブルオーディオ系の製品で、アンプについて書こうかなと思う。
先日の「秋のヘッドホン祭り」にて先行販売をされていた「ディーフ DDA-LA20RC」を購入してみた。以前にもiBassのポータブルアンプを使っていた時期があったのだが、結局荷物がかさばるのがイヤで持ち歩きはしなくなってしまった経緯がある。これには、僕がiPhoneの裏にICカードを入れられるケースを使い、Suicaを利用していることも関係あるけれどとにかく面倒で。他にもAudio-TechnicaのPHA31も使っていたりしたのだけれど、Lightningケーブルとの変換アダプタを付ける必要があるのが微妙に怖かったり。折れそうで。

と言うことから気軽にLightningに差せるポータブルアンプをいくつか物色していたのだが、今一つ好みの音が出ない。で、今回試聴してみてこれを購入してみた。

まずは外観から。僕は黒を購入したが、質感はなかなか良い感じ。丁寧に作り、組み立てているのが分かる。直径4.5cmほどの丸い本体はチープな感じがない。似たような製品はこの辺がまったくダメ。ボタンの押し心地も適度なクリック感があり押しやすい。この大きさならバッグにくっつけてもブラインドタッチが可能だ。使ってみて感じたのだが、この円形と言うのは意外に良いなと感じる。何かに引っかけたりすることが皆無であるためだ。最初は奇をてらったのかなとも思ったけれど、これはなかなか考えられてるんじゃないの?なんて思ったりもした。

しかし、裏面のクリップはダメ。根本がシッカリと固定されておらず、少しグラつくし、タイトに締まっているわけではないのでシャツには止められない。どうしても浮いてずり落ちてくるからだ。これがシッカリと締まっていれば裏面のラウンドした形状でかなり良い感じで固定できると思うのだけれど。
なので僕は結局バッグに止めておくことにした。しかし、これはこれで問題が出てくる。

上に書いたように僕はiPhoneにSuicaを入れて使っているので、駅の改札で取り出す必要があるのだけれど、付属しているコードがとにかく硬い。写真を見てもらうと分かるのだけれど、しなやかな柔らかさがない。音質面などを考慮し、敢えてこのコードを選択しているとは思うのだけれどとにかく硬くて取り回しが悪い。それにコードが微妙に短くてとにかく使い勝手が悪い。microUSB-Lightningケーブルは市場ではなかなか見つけることができないので、現状、これで使っているがもう少し柔らかいケーブルにして欲しいと思うのは僕だけだろうか?

それから、リモコンで音楽を一時停止した状態だと、iPhoneのスリープに従ってアンプの電源が切れる。例えば1分にしておくと1分15秒くらいでブツリと音がしてアンプの電源が切れるのが分かる。この状態からはアンプのリモコン操作は不可なため、とりあえずiPhoneをスリープ解除(画面が点灯しているだけで良い)してからボタンを一度押すと電源が入る(ここでもブツリと大きな音が鳴る)。そこから再度真ん中のボタンを押すとやっと音楽の再生に移る。
おそらく省電力のための仕様なのだろうけれど、一時停止ごとにiPhoneを操作するのはちょっと面倒だなと思う。例えば、オーテクの同様の製品の場合にはすぐに復帰できるが、そう言えば確かにバッテリーの消費は多かったような気がする・・が、それほど気になるほどの差でも無いような感じを受ける。正直、どっちが良いとは言い切れないところ。

さて、音質について。それほど高尚な耳じゃない点はご容赦願いたい。

一聴すると「あれ?」と思う。ちまたの多くの製品に比べ低音の量が少ないのと、全体的なゲインが低いせいだと思う。普段使いのイヤホン/ヘッドホンだと音量が下がる。これだとインピーダンスが大きいヘッドホンだとどうなるのだろう?と感じた。ボリュームはiPhoneと連動しているので一定以上上げることがままならない。僕はリッピングした音源を歪みを嫌ってすべて91dBで統一しているけれど、これだと低すぎるかもと思う。ボリュームバーはかなりMaxに近くなっている。

音質自体は明瞭で分離が良く、音の粒立ちが際だっていると感じる。各楽器がシッカリと個別に鳴っていて気持ち良い。低音はとにかく量が少なくて締まっている。低音はある程度緩い方が音に包み込まれているようで好きなのだが、これはそれを味わうためにはイコライザーである程度低域を持ち上げる必要がある。それでも昨今のブーストのかかったような多くの機種のような低音は出ず、下手にイコライザーを上げすぎると歪んで不自然な音になる。曲によっては多くの迫力を望めないだろうと思う。

それでもこの明瞭な音は捨てがたい。クラシックやジャズを聴くと、ベールを数枚剥がしたような明るさがある。楽器の音は美しく、改めて直差しで聴いてみるとその差に驚く。ただ、電車で聴くことがメインの僕には、やっぱり低音が少ないのは今一つかなぁ・・。自宅や静かなところで聴く分には必要十分な低音だとは思うのだけれど。

ちなみに僕はイコライザーは積極的に弄る派である。音楽を聴くにしても皆それぞれDAPも違えばイヤホン/ヘッドホンもイヤーピースも違う。自分が聴きたい音の傾向はやっぱり決まっていて、どのイヤホン/ヘッドホンを使っても似たような音質にしたいと思うのではないだろうか。もちろん音の差異を楽しむのも分かるけれど、素の音が必ずしも良いとは思えないからだ。
たとえばComplyは遮音性が高いイヤーチップで装着した時のストレスが少なくて好きだ。だけれど、あれは高音がチップに吸収されてしまうし、低音は密閉感に比例して量が多くなる。だったらその分を調整していた方が良いだろうと思う。他の人はどうか分からないが。

とりあえずしばらく使ってみての感想としては、現在も使い続けていると言う結果がすべてだと思う。低音の量は少なくても、あの明瞭さは捨てがたいからだ。おそらく次に新しい製品が出て、それが気に入るまでは使い続けるのだと思う。

追記:11/25
音楽の停止からiPhoneのスリープに従って給電を停止していたが、しばらく使っているうちに設定に関係なく音楽が停止したら15秒ほどで給電がストップするようになった。とても不便。
そうこうしているうちにiPhoneもiPadもデバイスを認識しなくなり、サポートに連絡したところ交換品が届いた。実はこれで3個目。それはそれで迅速で親切な対応だと思うけれど、問合せに無反応でいきなり現物を送ってきたり、送り返した本体の到着確認メールも寄越さないのはちょっと不親切だなと思う。ちなみに、交換品は今の所問題なし。

しばらく使っていたので音質についても少し。個々の楽器がとてもエッジが効いた音で明瞭で気持ち良いのだけれど、なんと言うか・・音と音の間に隙間みたいなものを感じる。低音が締まって量が減ったせいなのか、音場に緩く漂っていた低音が包み込まれるような雰囲気をスポイルしている。これはハッキリと好みの問題だと思うが。

追記
結局、使えないと判断した。あまりに低音の量が少なすぎる。ボーカル特化型と捉えて良いだろう。僕には不要。