以前のエントリーで、「ウクレレもスピーカーだと考えられる」と書いた。ということは、普通のスピーカーと同じでエージングが必要じゃねーの?と思ったわけだ。で、ネットを探していると色々と試行錯誤やらギターのエージングについての論文らしきものまで見つかる。エージングキットまで売っているのが分かった。
さて、僕の経験が新しく始めたウクレレに生きるとも思えないのだが、通常のダイナミックドライバだと口径の大きさをなんとなく配慮してみると、200〜300時間が妥当とも思える。僕が今、ウクレレを毎日触っている時間を考えると、一ヶ月で10時間程度だと思う。それもヘタっぴな演奏でだ。それから類推すると、単にエージングが完了するだけでも3年以上かかる計算だ。
ここでハタと考えてみる。「僕の残りの人生はどのくらいだろうか?」である。これは自分が40歳を超えたあたりからなんとなく感じていることでもあるし、さらに言えば、ここ数年で僕よりも若い後輩やら友人の死に直面している実感があるからだ。せっかく楽しい新しい趣味を見つけたのに・・と、少しばかり弾けるようになってから考えるようになった。で、「ウクレレのエージング」である。だって、ウクレレが良い音になるのにそんなに待てないという焦りの気持ちがある。
一番良いのは、普通に弦を弾いて馴染ませることだろう。それを自動で行う方法があれば良い。スピーカーや一部のイヤホン(BA型はエージングは不要だと思うから)のように、実際の音楽を流しっぱなしにするってわけにもいかない。エージングキットはそれらしいことをやっているっぽいが、Webを徘徊していると「新品のウクレレに音楽を聴かせる」とか、「振動スピーカーで鳴らす」というのがあった。前者はともかく、後者は一考の価値があるんじゃないかと思える。
ということで、例によって試してみた。使ったスピーカーはそれほど高価なものじゃない。もちろん、ウクレレの鳴動する帯域や、その精度を考えると良いスピーカーであるに越したことはないが、そこはやっぱり少し懐疑的でもある。で、これを選んだ。
考慮したのは以下の点。
- 貼る場所はブリッジの近く
- 音量は少し控えめで(スピーカーのエージングも同じなので)
- 音源はウクレレ
- 弦が同時に共振しないようにミュートしておく
ブリッジ近くに貼ること、音量を上げ過ぎないのは良いとして、音源にピンクノイズではなくウクレレにしたのは、そもそもこれはウクレレだからだ(当たり前だけど)。ウクレレが出す音に近い方が良いだろう。弦のミュートは、最初にそのまま鳴らしてすぐに分かったのだが、このスピーカーで共振するのはボディだけでは無いから。弦も同時に振動して、中域がモワンとしたちょっと不快な音がなる。これは表板の薄いコアロハで顕著で、以前から使っているソプラノはそうでも無かった。なので、弦に負担をかけない程度のものでミュートさせる。
参考までに動画を載せてみよう。もちろん、動画の帯域、撮影したiPadのマイクの性能でナマの様子が伝わるとも思えないのだが・・。
とりあえず10時間くらい鳴らしてみて、少し様子をみようと思う。
で、ここまで書いておいてナンだけれど、実際にはやっぱり自分で演奏してエージングするのが良いと思う。それが奏者のクセや弦、ウクレレ本体の扱い方なのだから。ただ、今回はそこまで待てない・・と言う気持ちと、何しろ「実験好き」な性分でやってみた。ということで、あまり勧めはしないけれど、ウクレレのエージングを考えてみた・・でした、はい。
追記(2018/09/23)
しばらくして面白いことに気が付いた。このスピーカーを使っていると、ボディの鳴りに応じて弦が共振して不快な音を立てる。それが、当然といえばそうなんだけど、太い弦に顕著に現れる。MartinやWorthのCM/BMを張っている時には結構それが耳障りだったのだけれど、ORCASのライトゲージにするとほとんど共振しない。逆に考えると、普通に弾いている時にも3弦は他の弦の影響をかなり受けていると思える。コアロハは特に音の立ち上がりが早く、ボリュームそのものが大きいせいもあるけれど、かなりハッキリとした違いがある。つまり、ORCASライトゲージだと、通常の演奏でも他の音の影響を受けにくく、スッキリした音になる・・と言えるんじゃないだろうか。
それと、スピーカーは別としてもイヤホンやウクレレくらいの機材だとエージングはあまり信じていないのだけれど、毎日の練習だけでもかなり音が変わった。久し振りにスピーカーを付けて鳴らすと、結構良い音で鳴る。こうなると、弾き込んで育てる・・というのもまんざら都市伝説でも無いなぁ・・と感じた。