南瓜の馬車 〜いいわけでも許して〜

猫とガジェットと映画と小説の毎日です。

笑いのツボにはハマるが、なんか悲しく辛い気分(映画:ペット)

昨日、続けざまに二本の映画を観たせいか、今日は微妙に疲れ気味。間に休憩を挟んだとはいえ、「座りっぱなしの二時間」ってのは今の弱った僕の身体にはかなりキツイ。

ということはともかく、昨日に続いて映画の感想を。もう一本の「ペット」である。

ニューヨークで飼い主のケイティと楽しく暮らす小型犬のマックス。ある日ケイティが保健所から一匹の大型犬、デュークが新しい家族となる。マックスとデュークは互いに立場の有意を争い、翌日、ニューヨークで迷子になってしまう。二人に迫る危機。彼等は無事にケイティの元に帰り着くことができるだろうか?

実は昨日のエントリーに書いたX-MEN アポカリプスもそうだったのだが、都内でIMAXの設定映画館が見当たらない。どうも「シンゴジラ」と「ジャングル・ブック」に取られてるのかなぁ・・と思いつつも、3Dの選択はあったので両方とも3Dで観た。

以前にも書いたけれど、最近のこの手のアニメはもう「アニメーション映画」という括りとは別の、新しいジャンルになっていると思う。CGを多用した映画の風景などは、この映画では流石にカラフルに彩られてはいるが、例えばカーチェースシーンなどはなかなかの迫力とリアリティがある。それが良いか悪いかということではなく、単に「好きか嫌いか」ではあるし、結果的に表現の幅が豊かになることは歓迎しても良いように思う。

 

さて、このペット。僕の感想を結論から言うと、ちょっと悲しい辛い気持ちになった。「ペットは飼い主がいないところではどんなことをしているか?」ということだが、それぞれのペットが個性が溢れていて可愛らしい。映画のいたるところでそのペットたちのカワイイ姿は観られるし、その行動のちょっとしたコメディ感は結構ツボる。劇場にいても思わず声が出るほど面白い。テイスト的には、マックスとデュークの立ち位置が「モンスターズインク」のマイク(一つ目のモンスター)とサリー(青い毛むくじゃらのモンスター)の関係に似ていて、何となく既視感も感じたり。それにしても、アチラのギャグのセンスというか笑いのツボは本当に見事で、他の同様のアニメ映画でも随所に見られるものだ。しかも、なんとなくホッコリとするのが良い。テレビで芸人が、相手をこき下ろして取る笑いとは真逆のものだ。こういう万国共通?というか、日本人が見てもクスリと笑みがこぼれるような演出は素晴らしいと思う。

 

では、なにが「悲しい気分」にさせたか?それは、マックスとデュークがケイティの元に返るまでの小さな冒険の過程で出会う「捨てられたペットたち」の姿だ。あまりに様々な種類とたくさんの子たち。そして人間への憎しみの感情を持たざるを得なかった現実と、その悪意的なものを見せられる。これは映画上でのペットの世界において社会性を持たせた結果なのだとは理解しても、それが実際に多くのペットたちが捨てられ、保健所に捕獲される末路を知っているだけに切ないし悲しいし、人間の身勝手さにやりきれない思いになる。特にボス各のウサギの「スノーボール」はあまりに愛らしいのに、性格が歪んでしまって、その反動のせいか毒々しさが酷いと感じてしまうと同時に、こんな愛らしい生き物を邪悪に変えてしまった人間の無責任さという現実(というか映画の中でだが)に悲しさと辛さを感じたのである。

それに、この手の映画でキャラクターが死ぬことは無いのだが、唯一、大蛇が死んでしまう。その瞬間、得も言われる悲しさがこみ上げてきた。彼等には何の罪もないのに。

 この映画の狙いとして、飼い主がいない時間でのペットたちの可愛さ、楽しさを見せることに加え、ひょっとしたらこういった現実・・というか、僕の想像し過ぎかも知れないが・・を見せる風刺的な一面も飼い主の責任としての警鐘を与えているのではないか?とも思う。

 

僕の家にも3匹の猫たちがいて、彼女/彼等は自分達の家族として考えている。その家族を放り出すだなんてことは到底ありえないし、それは「残虐な行い」として捉えている。例えば、その家族が事故にでもあったら・・想像したくもないし、したら涙が出そうだし恐怖で震える。そんな「家族」をどんな理由か知らないが放り出すだなんてとてもじゃないがそんな人間とは関わりたくも知りたくもない。だが現実には「ある」のだということも分かっている。この映画を観ていると、それを突きつけられる気分になる。

そもそも、生き物を人間の都合で「飼うこと」自体が罪ではないか?と言われると、そこもグゥの音が出ない。ウチの猫たちは、ルナが捨て猫、テラとソルが年老いた夫婦が飼いきれなくなってしまったのを引き取った。それが偉いとか正しいとか言うつもりはない。ただ、現状として既に3匹は家族である。それを生涯貫くだけだとしか言えない。

 

映画が終わって、帰りにスノーボール(ウサギ)の縫いぐるみが販売していた。可愛かったし「買って帰ろうかな・・」と一瞬だけ思ったのだが、スノーボールを見る度にこの映画の負の部分を感じてしまって悲しい気持ちになるだろうな・・そう思って止め、映画館を後にしたのだった。