南瓜の馬車 〜いいわけでも許して〜

猫とガジェットと映画と小説の毎日です。

割と好きなアニメーション映画6選

普段はアニメ映画をあまり観ない。別に嫌いじゃないんだが、やっぱり映画は俳優の「演技」が面白いのだと思っているからだ。

しかし、最近、PIXARの作品を観ていると、これは「アニメでも実写でもない、他のジャンル」だと感じる。CGをふんだんに使ったアニメーションは、人間の姿意外はSF映画辺りと遜色のない「実物感」があるからだ。

これらとは別に宮崎アニメのような、いわゆる昔からの「アニメ」がある。今回はその辺も一緒にして紹介するが、個人的には別かなぁ・・という気もする。

また、最近のコミックの映画化はあまり興味がないというか、面白いと思えない。僕の青春時代であったガンダムシリーズは個人的には完全保存版であるのだけれど、紹介する・・という視点で考えるとちょっと違うかなと。もちろん、ファースト、逆シャア、ユニコーン辺りはBlu-rayで持っていて、何度も観ているけれど。ということで以下の6作品。

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かーるじいさんの空飛ぶ家

冒険家チャールズ・マンツに憧れる少年、カール。同じ冒険好きな少女エリーと出会い、そして結婚。しかしその幸せはいずれは終焉を迎えるのである。独りになったカールは、いつか二人で行こうと約束した「パラダイス・フォール」への旅に、再び自身を奮い立たせるのであった。それも奇想天外な方法で・・。

この作品、話題にはなったが興行的にはイマイチだったようだ。そもそも子供が楽しめるというタイプの内容ではないのだろう。ディズニー作品はグッズ販売商法が顕著だが、この映画はグッズ等での販売売り上げもそれほど期待できるタイプではないと思う。

だが僕はこの映画が大好きだ。最初の5分ほどで描かれるカールとエリーの生涯に涙しない人は少ないだろう。そして、老いてなおその「夢」を追いかける姿に心を打たれる。物語のスパイス的にラッセル少年の活躍、そして怪鳥ケヴィン、犬のダグのトリオは様々な危機を乗り越え、最後にはそれぞれの夢に到達する。老いも若さもない。夢に邁進する姿は清々しさと活力を与えてくれる。

この映画を観ると、今の自分の年齢でもなにかできることがあるのじゃないか?そんな気持ちを高めてくれる。素晴らしい映画だと思う。

Mr.インクレディブル

かつて世界を救っていたヒーローたち。しかし、そのヒーローたちも活躍において街に損害を与えたことで糾弾され、その活動停止を余儀なくされてしまう。「Mr.インクレディブル」であったボブもそのひとりだった。彼は同じヒーローであった「イラスティガール」のヘレンとその家族と共に、平凡な毎日を送っていたが、勤務先の保険会社や社会への不満と退屈のため、とうとう昔のヒーロー仲間である「フローズン」と共に「隠れヒーロー」を始める。そんなボブのところに、「ヒーローのチカラが必要だ」との怪しい誘いが来る。ボブは、そして同じように能力を受け継いだ家族の命運はいかに?

なんとなく「マン・オブ・スティール」の破壊を思い出してみたり。この映画は2004年に公開されているが、やはり当時と現代とではアニメーションCGの完成度が違う。だが、こいつの面白さは「家族愛」をテーマとしつつ、その家族の個々の能力が要所要所で発揮される痛快さだ。長男ダッシュの活躍に胸がときめかない人はいないだろう。ちょっとシリアスでちょっと皮肉も効いていて、更にPIXAR特有のクスリと笑えるシーン。そして痛快!こちらも子供向けかと言われると微妙に外れている気もするが、僕が大好きな映画だ。まあ、そもそも「アニメーション映画 = 子供向け」ってことは無いんだけどね。

ベイマックス

未来都市、サンフランソウキョウでロボットファイトに興じて金儲けをするヒロ・ハマダ。そんな非合法な賭け試合で自堕落な生活を続けるヒロに、ある日兄のタダシは自ら開発したケアロボット「ベイマックス」と、一緒に研究している仲間たちと出会う。しかし、タダシはヒロが大学に入学するための研究発表会の事故で死んでしまう。悲観に暮れるヒロは、その事故が実は意図的なものであることを突き止め、そしてベイマックスとタダシの仲間たちだった研究者たちと事故を起こし、ヒロの発明を奪った犯人を追う。しかしそこには悲しい事故という過去があった。その時、ヒロとベイマックスはどうするのか?

とても心温まる良い映画だと思う・・が、その前に。これ、現代が「ビッグヒーロー6」である通り、ヒロとベイマックスを主軸におきつつも、仲間が一丸となり悪と戦う姿を魅せる映画でもある。だが、日本版と英語版には大きな違いがあることがその後話題になったのでご存じの方も多いだろう。ヒネくれた見方をすれば、日本版は「ベイマックス」を前面に押し出してグッズ販売に力を入れたかったのでは?と穿った見方をしてしまう。それぞれの違いはネットのいたるところに書かれているので参考にすれば良いと思うが、そもそもエンディングを変えてしまうのは映画としてどうだろう?そこには映画が訴えたい多くのものが詰まっているハズだ。ポスター程度は個人的にはまだ良いけれど、そこは変えてはいけないところだと思う。

ただ、ベイマックスの性格付けは見事だと思う。究極のケアロボット。人を助けたい、人を癒やしたい。今の人間が失いつつあるものをロボットに求めるという不甲斐なさはあるとしても、このベイマックスが守ろうとするものの価値には大きく共感する。

また、この映画は最新版ということもあってCG部分のできあいがリアルを通り越して不思議な感じさえする。日本に似ているあり得ない場所。別世界に引き込まれたような魅力も感じた。それと、日本語吹き替えがなかなか良い。むしろ主人公が日本人の位置付けなので、その方がシックリ来るのだろう。もちろん声優陣の良さが大きく寄与されている。これも好きな作品である。グッズは意地でも買わないがね。

ファインディング・ニモ

隠れクマノミのマーリンは、妻のコーラルと新しく生まれた「卵」の世話をしながら幸せに生活していた。ある日、そんな彼等にオニカマスの襲撃という悲劇が訪れる。 しかし妻コーラルと共に全て食べられてしまったと思った卵がたった一つ残っていた。その子は「ニモ」と名付けられた。ニモは生まれつき片ヒレが小さく、上手く泳げない。そしてニモは初めての学校で人間のダイバーに掴まってしまう。脱走しようと頑張るニモと、一緒の水槽に入っていた仲間たち。そして愛する息子を奪還するために多くの魚たちの助けを借りて奔走する父親マーリン。ニモは無事にマーリンの元にたどり着けるのか?

この作品も吹き替えが良いと思う。個人的には声優は技術専門職であり、ここのところの芸人やら俳優やらの「売り上げ至上主義」的な吹き替えはウンザリする。良い映画が台無しになった例は少なくない。しかし、この映画では木梨憲武氏はともかく、室井滋さんが非常に「良い味」を出している。マーリンを補助するハギのドリーのとぼけた味わいがこの映画の柔らかな味わいを見事に引き出していると思う。これが字幕だったらそうはいくまい。

また、この映画には多くのテーマが盛り込んであると感じる。親子の愛情は当然だが、大活躍するニモの小さな片ヒレには、生まれつき障がいを持った子供へのエールを感じる。更に、海底に沈む人間が作った残骸や珊瑚の様子が、人間が与える生態系への悪影響という警鐘も含んでいると感じるし、目的のためにみんなで協力することの大切さなどがそうだ。

この映画は子供と一緒に大人も楽しめる作品であり、良い意味での教科書となり得るアニメ映画だと思う。まあ、今の大人には子供の手本となり得るような御仁は少ないのだろうが。

ターボ

カタツムリはいつだって「スロー」だ。だが、そんなカタツムリのターボ(名前)は、人間のカーレースに憧れていた。ある日、彼は街に出るのだが公道を猛スピードで走る車の流れに翻弄されてしまう。その時、彼の身体に稲妻が落ち、そして彼はカタツムリにあるまじき「超スピード」を身につけてしまう。そして彼は憧れであったカーレースのヒーローであるチャンピオンに挑戦を挑むのであった。彼に勝機はあるのか?

まったく無名・・と言っても良いかも。劇場公開されていないらしいし。この映画は教訓らしいものはあまりない。夢を追い続けるということが少しあるけれど、基本的にスパーパワーは偶然に手にしたものだし、道徳的ななにかがあるわけじゃない。ただただ、そのスピード感、個性的なカタツムリたちのキャラクター、テンポ良く破綻の無いストーリーが魅力だ。とにかくターボの活躍が観ていて純粋に楽しめる。「カーズ」や「プレーンズ」と似たテイストだとは思うが、映像もとても美しく、レースに参加している部分のスピード感はクセになる。

無名なせいか価格も安く手に入るし、3D版もある。たまに何も考えずにスカッと映画を楽しみたい・・そんな気分の時によく観ている映画だ。

天空の城 ラピュタ

ちなみに公式の動画は見当たらないのでご勘弁を。

ある日、空からひとりの少女シータが「降って」きた。彼女は代々伝わる謎の青い石、「飛行石」を追う一段から逃れてきたのであった。彼女を助けた少年パズーは、それを追う軍団とムスカ大佐から彼女を守るために海賊ドーラたちと共に、伝説の「天空の城ラピュタ」の秘密を追うのであった。

最後は日本のアニメーション映画。これ、予告では「漫画映画」と説明されている。昨今の「CGアニメ」へのアンチテーゼ・・というには古い映画だが、宮崎アニメの面白さが満載されている映画だ。宮崎アニメと言えば「となりのトトロ」「風の谷のナウシカ」や、大ヒットした「崖のうえのポニョ」「魔女の宅急便」「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」・・とキリが無いほど楽しい作品がある。

個人的にこれらの作品に感じることは、自然への畏敬、少年少女の活躍、未知の世界への畏怖と憧れなどだ。子供が観ても、大人が観ても楽しめるし、ある種の教訓があるのもこれらの作品の好きなところだ。ストーリーもありきたりでない、独特の世界感を持っていると感じる。映画を鑑賞する上で、その「ちょっと無い」世界に没入する快感はどの映画にも共通する。その世界感がこの映画にもある。

その中でも好きなのが、この「天空の城 ラピュタ」である。興行成績的に言えば、「千と千尋の神隠し」を始めいくつかの作品には及ばないが、テレビの放送回数がなんと15回(ちなみに「風の谷のナウシカ」が16回で唯一上回っている)。それもかなりの高視聴率であることもこの作品が人気であることの裏付けだろう。また、ムスカとの争いの最後に、この古代文明の危険を悪用されないために唱える呪文「バルス」の瞬間にTwitterサーバーをダウンさせたなど、多くの伝説をも持つ。

また、テレビ放映では短いバージョンが放送されているが、2011年に放送されたものは通常よりも40分拡大されたニューマスターバージョンであったという事実を聞き、これは是非Blu-rayを・・と思ったのだが、いかんせん日本のアニメディスクは高額だ。

しかし、その他の作品や、宮崎アニメを持ってしても興行成績としては今一つ。日本は劇場に足を運ばない人が多いというのも少し悲しい事実である。もちろん、「自宅でノンビリ観たい」のは僕も同じだし、それを否定するものではない。

興行収入的なもの

ちょっとWikiで興行収入を調べていて考えることがあった。まずは歴代の映画の興行収入である。

Wikipedia 世界歴代興行収入上位の映画一覧

https://ja.wikipedia.org/wiki/世界歴代興行収入上位の映画一覧

 これは真ん中辺りまで読むと「インフレーション調整版(アメリカ国内)」と言うのがある。つまり、当時の貨幣価値と現在との差を調整したものである。これを読むと現在は劇場映画がいかにヒットしていないかが分かる。もちろんテレビ放映やDVD/Blu-ray/ストリーミングなどの影響もあるのだろう。しかし、それを加味しても差がありすぎる気がする。これは日本だと更に顕著ではないだろうか?都内ならともかく、少し都心を離れると人気映画でさえ劇場内はガラガラだったりする。嘆かわしいとは思わないが、この楽しみを得られないなんて損してるよなぁ・・とは思う。

確かに、2時間前後を拘束され、トイレにも行けず、物音にも気遣わなければならない。最近のようにジッとしていることができない世代にはかなりの苦行だろう。

だがしかし。劇場でないと本来の楽しさを味わえない作品というのは存在する。例えば先日の「STARWARS/フォースの覚醒」などがそうだろう。あの大画面、大音響を際限できる家庭は、ほぼ無い。強制するつもりはないが、やはり劇場で観てこその楽しみを思えば、映画の楽しさを味わえていないように思う。まあ、損をした気にならない・・のなら別に良いのだけれどね。

ちなみに、このインフレーション調整版でアニメション映画を探すと、「白雪姫」や「101匹わんちゃん」が上位だ。比較的最近のものだと・・「シュレック2」かな。個人的に「ファインディング・ニモ」が中位に食い込んでいるのが嬉しくもある。

 

しかし、こうやって自分の観たアニメーション映画を振り返ってみると、やっぱり映画は実写だろうがアニメーションだろうが「映画」だね。ひとつひとつに違った楽しさ、切なさ、嬉しさ、気持ち良さがある。小説には想像力をかき立てられることと他人の人生を追体験できる楽しさがあるが、映画はその世界にどっぷりと浸れる楽しさがある。さて、今夜は何を観ようか?そんな昼下がりである。