南瓜の馬車 〜いいわけでも許して〜

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【ネタバレ】映画?:スーパーマン VS バットマン ジャスティスの誕生

最初に書いておこう。酷評しているので、この映画が好きな人は読まない方が良いと思う。今年に入って「劇場で観たい!」という映画があまり無くて、その上、先日の「X-ミッション」でダメージを食らっていたので満を持しての映画館へGO!のつもりだったんだが・・。

 

ということで「バットマン VS スーパーマン ジャスティスの誕生」。

結論から書くと、「俺は映画を観にきたのであって、サーカスを観にきたんじゃない。」という感想だ。

 

映画としての問題点というか、あくまで僕の感想なのでその点はご勘弁願いたいが、不満点みたいなものを挙げてみる。

  • 全体の成り立ちとしてDCコミックのシリーズを知らないとわけが分からんシーンばかり(僕は年代的にもある程度は知っていた)
  • その中の「ジャスティス・チーム」の存在を知らないと更に意味不明なシーン
  • 無理矢理バットマンを以前の作品と紐付けるのであれば、まったく違うキャラクター設定
  • スーパーマンの誕生するストーリーである「マン・オブ・スティール」に引きずられ過ぎて、他のキャラクターに馴染まない
  • 「マン・オブ・スティール」では宇宙人であり救世主ということでエンディングを迎えたが、冒頭でひっくり返されているしその説明があやふや
  • スーパーマンを悪者にするための設定が雑過ぎる
  • スーパーマンはクリプトナイト(明言してないが、アレ、そうだよね?)が弱点なのに、何の説明もない
  • そのクリプトナイトをバットマンに渡してお互いに潰させるための工作?と思えたんだが、アッサリと何も語られない
  • 死んでも生き返るのなら、他のクリプトン星人は?
  • スーパーマンとバトルさせるためとは言え、あんな鈍重に見えるバットマンははじめて見た(出来の悪いロボコップ?)
  • レックス・ルーサーと言えばバットマンの敵役だが、「ソーシャルネットワーク」のマーク・ザッカーバーグがそのままで出てきた
  • バットマンと言えば執事の「アルフレッド」、技術顧問の「ルーシャス」がバランス良く配置されていたが、今回は両方を兼任したような味気ない「アルフレッド」になって出てきた
  • バットマンのあれほどの敵対心が、母親の名前が一緒だったこととロイスのひとことで和解できてしまうことが理解できない
  • アマゾネスの女王、ワンダーウーマンがあまりに唐突に現れた
  • 「ジャスティス・チーム」への伏線を差し込むのが雑過ぎて、ストーリーが分断されてしまってシーンが繋がらない
  • そもそも「ジャスティス・チーム」についてPCの画面ひとつでしか語られていない

なんかキリが無くなってきたので、この辺で止めておこう。映画・・というか見世物として良い点はもちろんあったので、それは後述する。

 

なんというか・・MARVELの映画での成功を意識し過ぎたのだろうか。とりあえずすぐに結果(興行収入)を出したくて、(個人的にだが)傑作の「ダークナイト・シリーズ」と、とりあえず新しいキャラクターで復活させたスーパーマンを合体させ、その後の「ジャスティス・チーム」への伏線(と言えるかどうか分からないが)を貼るために細かい映像をたくさん挟み過ぎ、更には写真一枚のデータからワンダーウーマンまで出してしまった。雑過ぎ。DCコミックに慣れ親しんだ国/世代ならともかく、その存在を知らなければもう意味不明なシーン満載だろう。

 

それだけじゃない。それらを繋ぎ合わせるための材料の説明もなく、「お前ら知ってるだろ?」的に配置されたせいで全体のストーリーがうまく繋がらない。あまりに唐突なシーンばかりだし、「マン・オブ・スティール」のゾッド将軍がルーサーの血液で怪物に生まれ変わる?何故そんなことに?どうしてその理屈が?みたいになる。

 

あぁ、ダメだ。書いているウチにまたキリが無くなる。

 

これ、まずは丁寧に個別のキャラクターを映画上で育てて、その上でスピンアウトで「ジャスティス・チーム」に繋げるべきじゃないだろうか。時間はかかるだろうけれど。MARVELはその点は割とうまく作っている。もちろん、日本人にはブラック・ウィドウやホークアイは馴染みがないだろうが、調べてみるとMARVELだってかなりたくさんのキャラクターがいる。「アベンジャーズ」では3大ヒーロー(アイアンマン、キャプテン・アメリカ、マイティ・ソー)の物語を時間をかけて育て、それらをうまく纏めてそれなりに見られるストーリーが構築できていると思う。それでも個別のヒーロー映画の方が僕は好きだけれど。

この映画はそれでMARVELが儲けてきたのなら、自分たちも・・と考えて出来てしまった?と思えるのは穿ち過ぎだろうか?

 

もちろん、サブタイトルを見た上で「もしかして・・」とは思っていたけれど、スーパーマンとバットマンの対立をどう治めるのか?という興味があったので観にいったわけだが、あまりにアッサリと和解してしまって、「え?それだけ?」となった。つまり僕がこの映画に期待した部分はホンの数秒で終わってしまったわけだ。「そんなことを期待しちゃダメだ」。はい、仰るとおり。そういう映画じゃなかった。

 

こうなるともう「良かった点」を探し出して観るしかないだろう。

  • アクションシーンのVFXがド派手だった
  • 音響がドカドカで迫力満点
  • バット・モービルが格好良くなってた(カーアクションは別として)

ん〜・・ダメだ。このくらいしか出てこない。こうなるとこれはもう「映画」というよりは「サーカス」だと感じた。映像と音響を楽しむのなら良いだろう。実在しない世界をその部分で楽しむのも映画の醍醐味のひとつだし、そういう意味ならアリだろうと思う。それならBlu-rayよりは劇場で観る方が良いと思う。映像が全体的に暗いので3Dの良いところはあまり出ないし、返って映像の荒さみたいなものになってしまうけれど、迫力はそれなりにある。僕は足が悪くてあまり外出したくないので、この手の映画は「劇場でしか楽しめない映画」と位置付けていて、その他の映画は時間のある時にジックリと自宅で観ることにしている。公開してすぐに観られないのは残念だが。

 

ただ個人的にはこの映画は「ダメ」だと結論づけた。正直、「観客、舐められてないか?」と思うくらい。「ダークナイト・シリーズ」が素晴らしい出来だったのでまさか期待は裏切らないだろう・・というその「期待」は見事に裏切られたのであった。