南瓜の馬車 〜いいわけでも許して〜

猫とガジェットと映画と小説の毎日です。

刑事を辞めるか、人間を辞めるか。(大沢在昌:雨の狩人)

Fiio X5 について、Dapper(MacのiTunesのプレイリストをDAPと同期するアプリ)で作ったプレイリストの問題、作者と何度もやりとりしているが直らない。日本とアメリカじゃ時間帯が違うので若干寝不足だったり。眠い。( ̄Д ̄)ノ

前にもエントリーを起こしたけれど、簡単なことだと思うんだがなぁ・・。そのやりとりは下記のリンクを読んでくれれば良いが(僕はちゃんと英語ができないので僕の英語の間違いはご勘弁を)、ウチの家人もX5を使い始めたのでAutomatorでシェルスクリプトをアプリにしておいた。これならコマンドを打てない家人でも大丈夫だろう。アプリをアップするのはどうかと思うので、やりとりだけを紹介しておく。アプリの作り方は後日、エントリーで起こしてみよう。

https://www.map-pin.com/support//ticket.php?track=XH2-UEE-1VLH&Refresh=66691

 

雨の狩人

個人的にこの大沢在昌氏の「狩人シリーズ」は大好きである。どこが好きかと言われると、一つは物語の語り部たる「佐江刑事」のキャラクター、緊迫感の続くストーリー、徐々に解明されていく謎、そして自分の知らない「極道」「警察」そして「カタギ」の世界である。

特にシリーズに共通して出てくる「佐江刑事」。警察内でも暴力団からも鼻つまみ者になっている中年刑事。見た目は腹が出て冴えない容貌で(なぜか僕の頭の中では、大島やすいち氏「おやこ刑事」の勘太郎で再生される)、無頼漢っぽさを持ちながら、実際には頭が素晴らしく切れ、賄賂などの汚いことには一切手を染めない。ある意味、暴力的な部分を除けば警察の正しい姿。このキャラクターが大好きなのである。

 

本作「雨の狩人」はその「狩人シリーズ」の4作目にあたる。「北の狩人」「砂の狩人」「黒の狩人」とそれぞれ主人公を変え、常に佐江を語り部として位置付けていると感じているが、今回はその佐江が主人公と言っていいだろう。

だが、これはまだkindle化されていない。今更紙の本を買いたくは無かったので随分待っていたのだが文庫どころか一向にkindle化される様子がなく、待ちきれなかったのでとうとう買ってしまったのである。

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「刑事を辞めるか、人間を辞めるか。」。刺激的な帯のフレーズである。でも、ここまでの3作でも同じことが言えるだろう。異なることは終盤の佐江の気持ちである。だからこそ今回は佐江が主人公であるのだろう。

正義であるはずの警察、悪であるヤクザやカタギを装った組織、感情の欠落した殺し屋、そしてそれに加えられた家族の情。それらに対抗するため佐江はどうやって行動し、どういう結果を招き、そして、この結末をどう受けとめるのか?そこが見所の一つでもある。

 

物語を簡単に書くと、ある組織によって新宿の一角の土地が買い占められていることに佐江がある殺人事件をキッカケにして気付く。その謎に佐江が迫り、そこに莫大な金(カネ)が動くこと、そして組織が殺し屋を雇い、買い占めの邪魔になる人達を次々と排除していくことを阻止する。更に、不可解な行動を取る佐江と同行する捜一のデカ、そしてそれぞれ別の目的を持つ謎の殺し屋二人。

 

前の作品でも描かれていたことであるが、ヤクザが暴排法によってシノギが立ち行かなくなり、昔ながらのヤクザは減り、一見「カタギ」を装った凶悪な犯罪組織が横行している世界だ。これはおそらくある程度は事実ではないかと考える。

しかし、コトの大小に関わらず、実際の「カタギ」である一般人でさえルールも法もちゃんと守らない現代でもある。そういう部分での刺激は少ないのだろうが、それを組織として犯罪も厭わず、営利運営していくことに違いがある。もちろんその規模も大きく異なる。個人的にはひとつひとつの行動であれば一般人でもそれほど変わらないと僕は思う。ただ、それを組織的に行い、動くカネが桁違いであり、人の命が軽いことが大きな違いだ。

逆に考えると、こういう人達が周囲にも存在しうる可能性にも思い当たり、少し怖いなと誰もが思うだろう。

 

毎回のことだが、このシリーズはある程度予定調和的であり、途中で結末がぼんやりと見えてくる。それでも目を離すことができない。緊張感が持続するジェットコースターなのがこのシリーズであると思う。まあ、それは大沢在昌氏の作品に共通することだが、今回はそれがより顕著になっていると感じる。相変わらず引き込まれる面白さがある。

 

で、読了。前3作同様、とても面白かった。だが、ヤクザ抗争のストーリーとかが嫌いな人には面白くはない・・というか苦手だろうなとも思う。ちなみに、もし読むのなら順番に読むのが良いと思う。途中で前作のキャラクターが出てくるので。

最後のシーン。このシリーズはこれで終わりなのかな・・と思いつつ、次ぎの作品に期待してしまう。僕にとってはそういう作品なのである。

 

蛇足として

やっぱり紙の本は場所を取るし、電灯がないと読めないし、バッグに入れると重い。もちろん紙の書籍好きな人を否定するつもりは毛頭ないが、僕は紙を触っていると手の水分が取られて手がボロボロになって(特に古本だと)血だらけになってしまう。なので早くkindle化されないかなぁ・・と思う。