南瓜の馬車 〜いいわけでも許して〜

猫とガジェットと映画と小説の毎日です。

偉大なるオバサマと朝の珍事(というかオバサマのありがたい行動に感謝)

敬意を表して「オバサマ」と呼ばせていただきます。ちょっと恐かったけど。

 
今朝のこと。いつものように優先席に乗り込んだのだけれど、相変わらず満席。ただ、時間を通勤時間帯からズラして乗っているのでしばらくの辛抱だろうと頑張ることにした。
座っていたのは、朝帰りなのかこれから遊びに行くのかちょっと派手な装いの20代前半の女性が爆睡。それと勉強をしているこれも若い女性。後はAppleの付属イヤホンでスマホをニヤニヤ眺めている若いサラリーマン、40歳前後のガッチリしてスポーツウェアの男性、残りはお年寄りの方々。
 
ちなみに僕は顔を覚えるのが得意なのである。お年寄りの一人とガッチリくん以外は以前にも見たことがある。まあ、いつも同じ時間帯の同じ電車の同じ車両に乗れば覚えるものだろうが。
 
僕は今朝は杖が右手だったので(両足とも痛みがあるので、痛みの強い方に合わせて変えている)、左手でポールが掴める、寝ている若い女性の前に立った。その時、後ろから肩を叩かれたのである。
 
僕と同じくらいの年齢のオバサマ。普通のオバサマ。その辺のスーパーに買い物にでも来たようなオバサマ。僕はイヤホンをしているので、すぐに外して「はい、何か?」とたずねた。するとオバサマ、
 
「前の人に譲ってもらいなさいよ。優先席なんだから。あんた杖ついてるんだから。」
 
と。とはいえ、人には人の事情があるのである。実際に同じ境遇になってみればわかるが、座っている方に「譲って下さい」とはなかなか言えないものである。この辺が以前にも書いた「元気なら優先席は座るべきではない」というところなんだけど、とにかく「いや、しかし、よく寝ていらっしゃるようですし・・」としか言えなかった。我ながらヘタレ過ぎる。普通のオバサマなのに。そうしたらオバサマ、その寝てる子に向かって怒鳴った!
 
「ねぇ!あんた!杖ついてる人がいるんだから譲りなさい!」
 
命令口調である。驚いたのは僕だけではないハズ。僕も「あんた」呼ばわりされたがそれはまあ良いとして、いきなり寝てる子に「あんた!」である。誰だって驚くだろ、そりゃ。
 
その声で驚いて目が覚めた女の子は、こっちを一瞬見てダッシュで電車を降りる。「驚いただけ?」って感じなんだが、同時に勉強をしていた女の子もオズオズと立って場所を移動、ガッチリスポーツマン(仮称)も同様に、なぜか「すいません」って言いながら移動。一気に席が3つ空いた。オバサマと勉強していた女の子にお礼を言い、座らせていただいた。優先席に立つようになって5年近く経つが、初めての経験でとても驚いた。オバサマはやっぱり凄い。っつーか、つおい。
 
僕も立っている時に僕よりも状態の酷い人が乗ってくるのを見て、「どなたかこちらの方に席を譲っていただける方はいらっしゃいませんでしょうか?」なんてのを数回したことがあるが、名指しってのは流石に無い。朝の衝撃的な事件?であった。
 
ちなみに。
Apple純正イヤホンでニヤついていた若者サラリーマンは相変わらず座ってニヤニヤしていた。