南瓜の馬車 〜いいわけでも許して〜

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カスタムIEMをTWSに(Fiio UTWS3)

コロナ禍の関係もあるけれど、カスタムIEMの出番がとても減った。音質的には自宅にある全てのイヤホンよりも高音質なんだけど、さすがに60歳近くになって耳の衰えを感じている今だと、なんとなくもったいないなぁ・・と。高かったのに。それに、使い勝手の面でも通常のTWS(まあ、Bluetoothの無線イヤホンですな)が便利であり、出番が圧倒的に多い。自宅ではスピーカーを使うことが多いからだが、ヘッドホンもSENNHEISER MOMENTUMを買って以来、アレより良いなと感じるものが無いってのもある。

で、フと考えたのが「このカスタムIEM、無線化しちゃおうかな・・」だった。

Fiio UTWS3

発表当初から気になっていた製品である。つまるところ、無線化したら音質的に下がることは予想ができているが、今のケーブルの煩わしさから逃れられるのはなかなか捨てがたい。杖持ちの僕には特に感じる部分だ。しかも、値段が手頃である。ネットの評判も悪くない。ただ、僕の持っているカナルワークスのCW-L52は2ピンの埋め込み型。この製品は埋め込み型には対応していないのが痛い。しかし、ジッとL52を見ていると、なんとか対応できそうかなぁ・・と考え、結局買ってみた。試してみないと音質も評価できないし。

で、今はこんな感じ。取り付け前後の写真が無いのはご容赦のほどを。こういうのって、やり始めると止まらなくて、結局いつも事後の撮影になる。

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どうやって付けたか?それが気になるよね、きっと。あくまで埋め込み非対応ってことで、実際にピンを差し込んでみても微妙に刺さっているだけでちょっと不安。試しに音を流してみたら、鳴る。けれど、さすがに根元が不安定なので使えないので考えてしまった。

結局、方法を悩んだあげく、カスタムIEM側のアクリルを少し削ることにした。1m程度削って、あとはホットボンドで留めれば十分保持できる。1mくらいなら後からケーブルに戻す時にも大丈夫だと判断した。

削る前に、まずは直径を測ってみると、6mにちょっと足りないくらい。これなら、自宅にある電動ドライバ/ドリルのビットで削れるだろう。

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ただし、削るのはとても慎重にやらなければならない。アクリルはちょっとしたことですぐに割れるからだ。最初は少し滑るように削り、ある程度の溝ができたらそこから1mほど削った。で、嵌め込んでみるとピンは浅めではあるが鳴らすのには十分な深さになった。ただ、これだとコネクタ部分の不安定さはやっぱり不安なので、先の予定通り、ホットボンドで周囲を固めることにした。ホットボンドは冷えても少し弾力があって、後から剥がすこともできる。ケーブルに戻せることが前提であるのなら、この辺はとても重要だろう。

実は、最初はMMCXタイプを買って変換コネクタを付けようとも考えていたのだけれど、いかんせん、少し長くなるのがイヤだったので、結局この方法を取った。削るのは、正直なところ本来お勧めはしない。

気になる音質は?

さて、作業は完了したが、気になる音質はどうか?ネットの評価は悪く無いが、そこはやっぱりBluetooth。落ちることは否めない。さらに言えば、BA多ドラだとインピーダンスの関係でバランスが変わることが予想できる。最悪、手持ちのNUARL NT01に劣る可能性もある。ということで、まずはiPhoneで試してみた。接続はAACになる。

感じたことは、まあ、普通のTWSに持つ感覚と同じで、全体の精細な感じが少し緩くなり、音場が狭く曖昧になる。これはまあ、以前はDAPでバランス接続をしていたこともあり、当然だと思う。ただ、予想の範疇だがその予想よりもズッとその差は少ない。帯域バランス的には、「低音が増すかな」と思っていたらそのとおりになった。僕は低音が多いのは好きじゃない(のでフラットなL52を選んだんだが)ので、そこはイコライザーで対処できるレベルだ。

次に、日頃使っているFiio  M9でテスト。今となっては時代遅れ感が否めないが、この大きさと軽さ、HF Playerを使えばそこそこ良い音がすることもあってこれを常用している。iPhoneで良いんじゃ?って考えもあるだろうが、バッテリー消費の関係から専用機を使っているので、基本的に鳴らすのはM9から。接続はapt-xになる。

こちらはiPhoneよりもだいぶ良い。単体で聴いてもその差は分かるくらい。精細な感じはケーブルとiPhoneの間くらい。ひょっとしたらアンバランスで聴いた時に近いかも知れない(アンバランスケーブルが無いので今更試せないから、記憶が頼り)。音場も少し広がった感じがする。帯域バランスは、iPhoneよりもさらに低音が増えたが、これはM9のキャラクターの違いだろう。こちらもHF Playerを使っているが、イコライザーは少し弄った。結果、今の僕の衰えた耳では十分な音質になった。すべてがNUARL NT01を上回っていると感じる。

一番嬉しい点は、やっぱりイヤーピースなどを考慮しなくていいというカスタムIEMのメリットが十分生かせるところだろう。ホールド感はイヤホン本体は今まで通り。耳の後ろに回るユニットが意外に大きいが、実際に装着してみると軽くてまったく気にならない。ボタンの操作は物理的に押し込むタイプだが、ボタンが大きく、タッチが軽いので良い感じだ。正直、小さいTWSの場合だとボタンは小さいし、タッチ式だとつい触れてしまって思ってもいない動作をするのが困っていたので、こちらは解決した。あとは個人的にだけれど、僕の右手には杖があるので右のボタンを押す場合は腕を右側に持っていかないとならないのが不便だが、これは他のTWSでも同様だ。むしろボタンが押しやすくなったことで不便の程度は下がったと言って良い。

総じて

そもそもカスタムIEMを選んでおいて音質を犠牲にするのはどうか?と考えるむきはあるだろう。ただ、僕自身は音質もだが、その装着感がもっとも大切なポイントだったこともあり、十分満足な結果となった。ただ、穴を掘る?際に少しだけアクリル部分が欠けてしまったのが残念な点だ。まあ、使用には問題ないレベルだが。

音質的には多少犠牲になったものの、必要十分以上。イヤホンそもそもの素材が良いし(好みだし・・という方が正しいかな?)、やっぱりUTWS3の音質はそれほど悪くない。それに加え、僕はとにかく精細でフラットな音質が好みなので、現状、試聴したTWSにバッチリ好みに合うものが無いという点も、今回踏み切ったポイントでもある。まあ、成功と言って良いだろう。

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