南瓜の馬車 〜いいわけでも許して〜

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ポータブルミュージック環境を見直してみた(その2:Fiio M9)

前回のエントリーで、ポータブルミュージック環境の見直しとして、TWSイヤホンを紹介した。今回は、DAPも買ってみたのでそれを紹介しよう。

購入したのは「Fiio M9」。発売からそれなりに日数が経っているので、若干の今更感もあるが、色々と悩んで試聴した結果、これにすることにした。条件としては以下。

  • 音質が好みであること
  • 持ち運びが苦でないこと(胸ポケットに入るくらい)
  • Bluetoothではaptxに対応していること
  • 2.5mmバランスに対応していること
  • バッテリ持続時間が一日もつこと

実は、音質の優位性も考えてハイエンドの購入も考えたのだけれど、どうにも大きさの面で妥協できなかった。これから夏に向けて気温が上がることも考えると、あまり重たいものは持ち歩きたくない。この時点でM11が発表されてるし、小型であることが重要だったのでこれを選択。もっと良いのが発売されたらまた検討する。

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上記の条件で一部引っかかるのは、バッテリーの持続時間だ。バランス接続だと10時間ももたなさそう。それでも、全体のバランスと音質でこれに決めた。

まずは操作系から見ていきたい。

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メニューは実にシンプル。Spotfyのような一部のストリーミングサービスを利用する場合には、追加でアプリのインストールが必要になるが、今のところ必要に迫られていない。そのうち使うだろうけれど。

ただ、操作系には少し問題がある。

  • レスポンスが今ひとつ
  • 謎ソート順
  • 文字化け

この中で一番ストレスがたまるのは、やっぱりレスポンスだ。スクロールをする際に、キビキビと動作しない。再生リストが多い場合にはなおさらで、選択に30秒ほどかかるのも珍しくない。また、イコライザを弄る時にも、指定する周波数帯の操作バーがなかなか反応しない上に、決まったところで固定するのが難しい。この辺、タッチパネルではなく、X5 2ndのようなボタン操作の方が良いようにも思う。

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ソート順については、中華製のDAPで散々経験済みなのと、現時点では個別に曲を指定する利用をしていないので大きくは問題ないが、それでもこういう不具合は早々に直して欲しいものだ。

また、日本語の文字化けも健在。

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これだけ日本市場に参入して長いのに、これはいかがなものか。もちろん、これはM9だけではなく、もう一台、普段から使っているOPUS #1Sでも同様だ。手持ちの多くが洋楽でアルファベットのタイトルなので、こちらも問題は軽微だけれど、やっぱり気持ちが良いものではない。それから、動作の遅さと同様に、連続して次の曲に送っていると再生アプリが落ちることが多々ある。この辺、メモリ容量やCPU速度によるものと推察できることから、ファームアップデートなどで対応できそうな気がしない。

さて、肝心な音質について。

あくまで僕の使っているイヤホンで感じるのだけれど、中域に盛り上がりがあり、パッと聴いた時にはひどく音圧があって聞き辛いと感じた。ただ、これは僕自身の好みによるものも大きく、同僚に聴かせてみたらフラットだと言う評価。やっぱり個人の好みと、合わせるイヤホン/ヘッドホンの関係は大切だろう。

大きな美点としては、ボーカルが非常に明瞭なこと(あくまでCW-L52とNT01AXでだが)。中域の量感が多く感じることから、イコライザで中域を下げてみても(上記画像のような感じ)、ボーカルの良さは変わらない。代わりに、中域に集まっていた音圧がこの程度の設定変更で良い感じになった。低域から高域までそれなりに伸びるが、エッジがきつくなく、耳疲れしない音質。エッジが強くない割には精細感も高く感じ、楽器の定位は前後に奥行きがある感じ。もちろん、左右にも広がっているが、前後ほどの奥行きは感じない。OPUS #1Sと比較すると、精細感、定位、音場、共に微妙に負けている。が、音楽としてトータルで聴くと、こちらの方が耳障りが良く、自然な感じがする。特に、音楽のジャンルによって評価は変わる。この辺は好みだろうが、僕的にはどちらが良いと言い難い。しかし、前述のボーカルの良さがなかなか捨てがたく、他の条件も併せて結果的にこれを選択した。

また、AVRCPに対応していることから、以前使っていたリモコンも試してみた。

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結果的には、ちょっと使えないかな・・という感じ。本体が古くて故障の可能性もなくはないが、動作が不安定で、接続が切れると他の曲に飛んだり再生を停止したりする。僕はiPhone使いで、Fiio謹製のリモートアプリが使えないため、これに期待していたのだが・・。まあ、基本的には小柄な本体であるため、操作は本体で行うことが基本になっているが、使えるに越したことはない。ちょっと残念かな。

色々と書いたが、総じて満足できるレベルにあるのは、ひとえに音質と多機能、手軽であることだろうか。TWSも良い音質で聴けて、手持ちのバランス接続のイヤホンも使えるし、その切り替えも手間いらず。大きさも小さく、発熱もそれほど感じない(この先、暑くなったら分からないが・・)。これに慣れると、音質もOPUS #1Sに変えた瞬間だけ、なんとなく音が軽く感じてしまう。ジックリ聴けば#1Sの方が高音質だと思うが、ボーカルメインで聴くならM9、クラシックやイージーリスニングなら#1Sという感じだ。ただ、外出での場面を考えればその差が小さいことからも、断然M9だろう。

しばらくはこれで使ってみようと思う。まあ、技術の進歩は著しく、一年も経てばもっと良いものが出るのだろうが、それはそれ。その時に考えれば良い。