南瓜の馬車 〜いいわけでも許して〜

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ノリの良い、ドライな中高音が魅力(Bluetoothイヤホン Anker ZOLO Liberty+)

ワイヤレスイヤホンへの興味は以前からあった。ただ、カスタムIEMに走るほどに音質を求めている身としては、今までのBluetoothイヤホンの音質には満足がいかなかったわけだ。だが、ここに来て少し様相が変わってきた気がする。これは、先日買ったGoogle Homeのスマートスピーカー、JBL LINK20が思った以上の音質であったこともある。つまり、イヤホンも先入観を捨てて、色々と試してみる必要があるかなと思った次第だ。

そもそも、ワイヤレスイヤホンに対するメリットは色々とある。もちろんコードレスである利便性もそうだが、現在発売されているものには様々な付加価値があり、ある意味、スマートイヤホンと言っても差し支えがないんじゃないか?と思えるものもある。それに、現状発売されているものの多くは、スポーツ志向なのか防滴仕様のものが多いのも、汗をかく夏向きとも言える。僕は、仕事がら仕事中もイヤホンを使っているが、外部の音声取り込みなどの機能などもあり、色々と選択肢が増えていることも要因のひとつだ。

ということで買ってみた。「Anker ZOLO Liberty+」。

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選択肢の基準としては、以下だろうか。

  • 音質が許容範囲であること(最重要)
  • バッテリーのもちが3時間以上あること(通勤事情から)
  • あまり極端に耳からはみ出ないもの
  • 防滴であること
  • 外音取り込み機能があること

家電量販店に出向いて色々と試した結果、同じくAnkerのLibertyと悩んだ(本体が薄い)が、結局、音質を重視したのと、外音取り込み機能でLiberty+にした。

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音質は期待以上だ。ドライバに使われている素材のグラフェンの性格なのか、乾いたハリのある音で、低音から高音まで思った以上に出ている。音場も広く立体的で、iPhoneに接続して聴いていると、カスタムIEMのCW-L52との差は思った以上に小さい。もちろん、音の精細さ、リアルな楽器の再現性はCW-L52にかなり分があるのは当たり前だが、音楽を全体的に捉えると、Liberty+はとても元気な音で、さらに音の立ち上がりが早いのか乾いた音質がなかなかの精彩さを持つ。低域の量は個人的にはちょっと多めだが、最近の傾向を考えればむしろ少なめだと感じる。中高域に比較するとナローだろうか。全体的に色付けが少なく、ボーカルが前に出ていて、中高域が得意だと感じた。ノリが良い音楽を響かせてくれる。とにかく以前から持っていた「Bluetooth=音質は良くない」という思い込みを見事に払拭してくれた。

 

だが、思った以上に使えなかったのは、外音取り込み機能だ。普段はオフィスではBOSEのSportを使っているが、これはセミオープンで、外音が自然な感じで入ってくる。

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しかし、Liberty+はマイクで拾った音を再生音に混ぜているようで、指向性が曖昧で、帯域を絞った(おそらく電車のアナウンスや人の声に合わせてあるんだと思う)不自然な音なのだ。しかも、それほど音楽を大音量で聴いているわけでもないのに、外の声はハッキリ聞こえるのに、音楽に被って内容を聞き取ることができない。しかも、微妙なのが、その声がどちらから聞こえてくるのかが微妙に分からない。この機能についてはSony製のイヤホンとも悩んだところだが、Sony製は試すにいたらず(量販店は大音量に包まれているから)、少々落胆した点だ。

また、曲送りや戻し、外音取り込みやSiriなどの起動は本体のボタンを押す。これ、ほかのイヤホンでやってみてもわかると思うんだけど、再生中のイヤホンを押すと耳穴にグニっと押し込まれてかなり不快。それに、これは個人的なことだが、僕は右手に杖を持っていて、曲送りは右の本体を1秒の長押しなのだが、腕を顔の前から回り込ませて押さなければならない。これが結構面倒だ。それともうひとつ。この1秒の長押しのタイミングが分かりにくい。曲送りができた時には、ボタンを離した時に音がする。なので、「どのくらい押したら」というのが今ひとつ分かりづらい。まあ、慣れてくれば良いのだけれど、最初は戸惑うと思う。1度押したら再生/停止、3秒押すと外音取り込み機能なのだが、この辺を体感的に分かりやすくして欲しいと思う。

なので、実際には本体のボタンは手がふさがっている時以外には使っていなくて、普段はApple Watchでコントロールしている。Apple Watch、超有能。

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Apple Watchならボリュームの調整もできるし、曲名なども表示されるので操作がスムーズだ。もちろん、歩きながらの操作には問題があるが、そもそも歩きながらの操作は危険を伴うことからやるべきではないだろう。

装着にはちょっとコツがある。最初に耳に入れ、そこから外側にひねると安定する。耳からのはみ出しは、Libertyに比べるとかなりファットなLiberty+は、それなりに耳の外に出る。

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ただ、本体を押さえるイヤージャケットの張り出しの具合が良くて、少しくらい走っても落とすようなことはないだろう。もちろん、事前に自分の耳に合ったイヤージャケットを選んでおく必要がある。

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このイヤージャケットは、耳に安定させる張り出しの大きさで4種類が揃っている。ちなみに僕は一番大きなものだ。装着した状態で実際に手で触ってみると、上からの圧力には強いが、下から持ち上げるように触ると簡単に外れてしまう。電車などの混雑の際には、ほかの乗客との接触にちょっと注意が必要なように思う。また、これはあくまで僕の場合だけれど、イヤーチップは大きめのものを選んだ方が良いと思った。本体とイヤージャケットの張り出しが耳の広い部分を押さえてくれて、そこに大きめのイヤーチップで蓋をするように耳穴を押さえる感じだ。これが一番フィットする。あくまで僕の場合だが。これだと、一般的なカナル型のイヤホンの「耳にねじ込む」感じの圧迫感がない。「置いて蓋をする」という表現がぴったり。なので、長時間の装着でも耳が痛くなることがない。まあ、この辺は今使っている二つのBOSEも同じだし、カスタムIEMにしたのもカナル型の「ねじ込む感じ」が嫌だったってのもある。

バッテリーは本体だけで3.5時間。実際に使ってみたが、だいたい3時間ちょっとの感じ。充電ケースはトータルで48時間の再生を可能にするが、大きさの割にはズッシリと重い。とは言ってもモバイルバッテリーほどじゃない。このくらいは荷物が増えたというほどでもないと思う。

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まあ、色々と書いたけれど、暑い夏に汗を気にせず、コードもない、それでいて音質は満足できるという一品だと感じた。良い買い物だったと思う。