南瓜の馬車 〜いいわけでも許して〜

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「個人」としての生きるタフさが実感できる映画(映画:ムーンライト)

今日は、映画館に足を運び、「ムーンライト」と「ライオン」を観てきた。いやぁ、流石にこの年で二作連続というのはキツイ。歩くと、身体がゴキゴキと音を立ててるように感じる。

さて、今回は「ムーンライト」。「ライオン」も物語として観ればそこそこ良いと思うのだが、どうも色々と盛り過ぎ感があったり、最後の方で台無しな部分があったりであまり色々と書きたくない気分。

貧困地域で暮らすシャロン。彼は学校ではイジメに遭い、麻薬漬けの親には育児放棄され、黒人差別、更にゲイであることからのマイノリティ故の苦しみを抱えた少年だ。イジメから逃れる際に偶然会った、麻薬の元締めであるフアンと懇意になり、ほぼ親代わりとなる。少年から青年、そして大人へと成長していくシャロンの物語。

この作品はアカデミー賞の授賞式の作品賞発表でちょっとした騒ぎになったこともあり、タイトルを耳にした人も多いだろう。テーマとしては重い。もう、差別やらイジメやらがてんこ盛りで、こんな状況下でどうやってまともに成長できるのか?どれだけタフで無ければ社会で生き抜くことができないか?を描いた作品だと思う。真っ先に感じたのはそこだ。大人になり、奇しくも自分もフアンと同じ道を辿ることになったシャロンだが、そういった差別やイジメ、社会や家庭の不遇や摩擦に負けることなく生きていく「様」に共感する。

僕自身の成長においても色々なことはあった。例えば、シャロンの身の上を自分であったり、欧米人など他の人種、様々な地域をベースとしたらどうなっただろうか?と考える。これだけのことを乗り越えていけるだろうか?いや、無理だろう?そういう意味でシャロンは「タフ」なのである。まあ、麻薬の元締めになったことは悪いことだが、それを安穏と暮らしてきている自分に是非を問うことはできないだろうし、それこそ日本で生まれ育った僕には否定できることではないだろう。「生き抜く」ことの重さがまったく違うのだと思う。

その他でこの映画で一番印象に残ったのは、ナオミ・ハリスの演技かも知れない。彼女は他の映画でも実にステキな演技をする、個人的には今、一番魅力的な女性だ。麻薬と身体を売ることで生計を立て、育児にまで手が回らないダメな母親。しかし、それで無ければシャロンも生きていくことはできなかっただろう。生きていくことへのトレードオフ・・嫌な気分ではるが・・「真に迫る」とはこのことだろうと思えるその姿が、強烈なインパクトを与える。本人だと分かっていても、「ナオミ・ハリスだよな?」と途中で思えてしまうシーンがいくつもあった。

物語が淡々と進むこの手の映画は、日本では敬遠されがちであまり興行的にはどうかな?とも思えるが、是非、もう一度観てみたい・・と思わせる映画だった。