南瓜の馬車 〜いいわけでも許して〜

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【ネタばれあり】今までとは違うキングコング(映画:キングコング 髑髏島の巨神)

昔はキングコングもテレビで何度も放映されているので、おそらく全ての「キングコング・シリーズ」は観ていると思う。今日は、本日公開された「キングコング 髑髏島の巨神」を観てきた。

「キングコング」は多くの派生作品も含め、10作品程度あったハズだ。僕が個人的に「本流」であると思うのは、1933年のもの(白黒だったんじゃないかなぁ・・)、ジェシカ・ラングが主演を演じた1976年のもの、そして前2作と同じテイストで作られた2005年のものだ。最後に昇るビルがエンパイア・ステートなのか世界貿易センターかの違いなどはあるが、基本的には同様のストーリーである。最初はストップモーションのキングコングで、流石に現代で観ると色褪せて見えてしまうが、2005年のものになるとCGも熟成が進み、なかなかのできばえ。個人的にはこの2005年のものが最も好きな作品だ。

そして今回の2017年のキングコングは、その前日箪としてのスピンオフ作品と言えるだろう。キングコングは誰にも知られない髑髏島を守る巨神として存在し、もちろん捕獲もされないしニューヨークに行くこともない。今回、この辺が事前に語られていないこともあって、今までのもののリメイクと考えてしまうと肩すかしを食らうだろう。時代設定も1973年であることから、その辺が窺える。つまり、今回のキングコングは、あくまで島の平和を乱すものと闘う存在として扱われている。それが人間やスカルクローラーなどなのだろう。

こういう前提で観てみるとシックリと来るのだけれど、とにかくバトルシーンは派手で面白いのだけれど、逆にストーリーが単調で途中で飽きてきてしまうかも知れない。もちろん「キングコング好き」であれば必見であることは間違いないのだが。

個人的に違和感を感じたのは、コングと人との繋がりが唐突で希薄なところだろうか。今までのキングコングはヒロインと心を通じ合わせ、2005年のナオミ・ワッツ主演の作品では恋愛作品と言っても良いと思える。事実、ナオミ・ワッツとコングの間にある恋愛感情というか信頼関係は胸に迫るものがあるし、ディレクターズ・カット版の3時間という長尺でも飽きずに楽しめる。しかし今回のコングは、ヒロインとの関係も唐突でやっぱり希薄に感じてしまう。サミュエル・L・ジャクソンとのバトル?も同様だ。そこにあるはずの「何故?」を今ひとつ納得して感じることができなかった。

逆に驚いたのがその迫力。コング自体もかなり大きいと思う。倍以上あるんじゃないかな。敵にあたるモンスターである「スカルクローラー」とのバトルシーンでも、大型のモンスター同士の迫力ある闘いを見ることができる。まあ、そういう点では以前のエントリーにも書いたように、「今のハリウッドはアトラクション」であることを感じてしまうわけでもあるのだが。

そうそう、「モンスター」で思い出した。先日「ギズモード」に掲載されたサミュエル・L・ジャクソンのインタビューが「なるほど」と思った。

www.gizmodo.jp

彼はこのインタビューで、「俺のなかでは、キングコングはモンスターじゃない」と言っている。なるほど、そうかもと納得した。

最後に、次回の布石として、どうみても「ゴジラ」「ラドン」「モスラ」「キングギドラ」が描かれた古代の壁画を写すシーンがある。うーん、正直なところ、これは止めてもらいたいかなぁ・・。「怪獣同士を闘わせると面白い」と、僕には思えない。それに、「ゴジラ」や「モスラ」は今までも人間側の味方としても描かれているケースの多い作品じゃないか。最近食傷気味な「ヒーロー全員集合」はもういらない・・と個人的に思うのであった。