南瓜の馬車 〜いいわけでも許して〜

猫とガジェットと映画と小説の毎日です。

2016年の僕的映画Bestはこれだ!

ええと、毎年恒例・・というか、まだそれほどやっているわけじゃないけれど。

一応、劇場版でいくつか、初見のBD/DVDでいくつかを選択するようにしている。今年の劇場映画は18作、BD/DVDがここまでで301作観ている。BD/DVDの初見は・・と見ると、結構少ない。やっぱり好きな映画を何度も観ている感じだ。

劇場版Best3

劇場版は数も少ないのだが、その中から3作を選んでみた。

それでは第三位から。まずはこれ。「10クローバーフィールド・レーン」だ。

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「クローバーフィールド」、または予告編から連想する映画とは全然違った映画である。密室での行き詰まるサスペンスが新しく、それでいて完成度が非常に高いと感じた。ある意味、良い感じで予想を裏切ってくれた作品でもある。もともとジョン・グッドマンは良い俳優だと思っている。今回は狂気を演じる役柄だったのだが、他の映画の柔和で笑顔の似合うオジサンとはまったく違う表情が印象的だった。

 

次ぎは第二位。こちらは「キャプテン・アメリカ シビル・ウォー」を挙げたい。ええと、以前にも何度か書いているけれど、僕は劇場での2時間不動のままでいるのは身体的にかなりキツイ。なので、「劇場で無ければ楽しめない」という選択肢が基本だ。他の映画はBD化されてから自宅でジックリと観る。そのため、必然的に映像と音響が楽しめる作品になる。MARVEL作品は他のヒーローたちとのクロスオーバー作品が多く、場合によっては味がコッテリし過ぎてしまうのだけれど、キャプテン・アメリカシリーズは大好物だ。ただ、正直に書くと、アントマンやらスパイダーマンは少しやり過ぎかなぁ・・と思わないでもない。

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そして第一位はこれ!「スター・トレック BEYOND」である。

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以前のエントリーにも書いた通り、レナード・ニモイが亡くなり、主要メンバーであるアントン・イェルチンが若くして事故によって亡くなってしまった。そういう思いも映画の評価において捨て切れてはいないのは正直なところだ。ただ、やはり「劇場でバッチリ楽しめる映画」としてはこれが一番だった。主演のクリス・パインは、このシリーズでカーク船長としての新たなキャラクターを作り上げた。そしてそれは、彼が他の他の人気シリーズの主役のように、良い意味でも悪い意味でも彼のキャラクターへの印象を強くするだろう。それでもなお、このシリーズは「楽しめる」という点において素晴らしいと思う。

さて、実は、第三位にちょっと悩んだ映画がある。「マネーモンスター」である。短い時間に怒濤の流れとトリッキーな流れは面白かった。ただ、どうしても「予定調和で作り上げた感」が拭いされず、結局選ばなかった。

BD/DVD Best5(初見に限る)

こちらは300作ほどの中から、おそらく初見は10%くらい。その中から選んでみよう。

まずは第五位から。 こちらは日本映画から選んでみた。「世界から猫が消えたなら」。「64 ロクヨン」も前半だけならなかなかの映画だと思ったのだけれど、映画自体の「優しさ」というか「温かさ」がとても好きな作品だ。そう言えば、書くつもりでいて、まだエントリーに挙げてなかった。もともと小説を先に読んでみて、気に入ったというのもある。正直なところ、タイトルはちょっと「狙いすぎ」な感もあるのだが、人と人を繋ぐモノとして、猫だけではなく様々な思い入れのある「モノ」が出てくる。場所やモノというのは自身の人生の流れの中で、思い出と繋がっているものだ。それを強く感じさせてくれる映画だった。それらがひとつずつ消えることによって、人生の大切な思い出や人との繋がりが消えていく。小説の世界を壊さず、映像でこそ見せることができるポイントをとても巧く押さえていると感じた。小説の世界を更に広げることができている。それから、佐藤健の演技がなかなか良い。「るろうに剣心」でも超カコイイ剣心役を演じていたのが印象的だったのだが、今回の映画では一人二役、それもまったく異なる性格の二人を演じている。そのクッキリと分かれたキャラクターの使い分けも見事だと感じた。

 

お次は第四位で、こちらもエントリーでは書いていないのだがフランス映画である「最強のふたり」。現代は「Intouchables」で、例によって原題のままの方が良かったんじゃないかなぁ・・とも思うが。

パラグライダーで頸椎を損傷し、首からまったく下部が動かない大富豪のフィリップ。介護のために必要なスタッフも、アクの強いフィリップを相手に長続きせず、いつも新たな介護人を探している。そんな中、面接に訪れたドリス。彼は職に就くことはまったく希望しておらず、失業手当を受け取るためだけに面接に訪れた。しかしフィリップは彼を採用する。もちろん経験も資格もないドリス。だが、率直で裏表のないドリスの性格に、徐々に友情が芽生えていく。とても良いシーンというか全体を通してなのだが、ドリスは破天荒に見えて、「人のあり方」を良く理解していると思える。もちろんイタズラもすれば、法に触れてしまうような行為もしてしまう。しかし、そこには家族やフィリップ、そしてフィリップを介護する他のスタッフたちにも分け隔てなく接している。その人間的な魅力に強く惹かれるのだ。また、障害を持つフィリップの人間性もとても魅力的だ。大富豪であっても知的でウィットに富んだ会話が、このフィリップといいう人物の魅力を描いているのだが、首から上からしか動かせない状況でこの演技を魅せる名優、フランソワ・クリュゼの演技も素晴らしい。

この映画は実話を元にしており、BDには実際のモデルとなった二人の談話や映像も収録されている。是非観てもらいたいと思う。

 

第三位は偶然見付けたこの映画。「コードネーム U.N.C.L.E.」。なぜか市場的にはそれほど評判にもならなかったし評価も高くはないのだが、スパイものの基本を押さえ、それでいてクスリと笑える楽しいシーンが盛りだくさん。下品な笑いが無く、とてもオシャレに仕上がっていると思う。まあ、その他の感想は既にエントリーに挙げているので、そちらを貼っておく。

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さてさて、次ぎは第二位。もうね、なんの前知識もなくて観た。「ピエロがお前を嘲笑う」。おそらくもう一度観るとまた違う感想を得るのかも知れないのだけれど、初見で観た時に、シーンの重ね方、ミスディレクションがいっぱいで「ヤラレタ!」と思わず声に出た映画だ。こちらも既にエントリーがあるので貼っておく。

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そして第一位これはもう文句無しの一位。結構、昔の映画だけど「メメント」。物語として考えたら昨年観た「ダンサー・イン・ザ・ダーク」には敵わないのだけれど、とにかく時間軸を少しずつ巻き戻しながらのトリックがずば抜けていると感じた。主演のガイ・ピアースが素晴らしい役者であることは分かっているのだが、この映画のトリッキーさを自然に演じる力量はどう表現したら良いだろうか。これはもう劇場映画を含めても今年一番唸った作品である。記憶が10分しかもたないガイ・ピアース演じる主人公のレナードが演じる、それぞれの場面の緊張感、その行動に隠された意味を巻き戻して観た時のトリッキーさ、そしてそこに潜む真実という名の恐怖。もうね、こういう映画は他にちょっと無いんじゃないかな。実に巧い。そして映画の世界に引き込まれる圧倒的な展開。以前のエントリーにも書いた通り、二度見しましたよ、これは。

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ということで、この後におそらくBD/DVDでもう4〜5作は観るだろうけれど、この時点で僕的今年のBest映画を挙げてみた。実はアカデミー賞でも話題になった「ルーム」もなかなかの作品だったが、今回はこの5作品に絞ってみた。これを書いているウチに、またこれらの作品を観てみたくなる。そんな素晴らしい作品たちだったと思う。来年はどんな映画と出会えるのだろう?・・と、今から楽しみな気分になる。そんな一年だったと思う。こういうのは幸せだね。