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南瓜の馬車 〜いいわけでも許して〜

日常生活で思うこと、電子ガジェット、オーディオ、映画、小説を紹介するサイトです。

通勤時のちょっと嬉しいできごと

心とか社会とか

毎日の通勤。脚がよろしくないのでエレベーターでホームに降り立つと、目の前が優先席の入り口になっている。まあ、どの駅も似たようなものだろう。

そのためか、いつもだいたい同じ時間の同じ車両に乗ることになり、乗っている人の顔を覚えるようになってくる。朝の電車は短い時間感覚で来るから、ちょっとした時間の違いで数本の違いにはなるのだが、それでもしばらく続けていれば多くが見知った顔になる。特に優先席は。きっと街や仕事で出会っても本人と分かるだろう。顔を覚えるのには自信がある。

 

で、今日はたまたま杖の男性のご老人がお二人、そして僕の三人が揃った。お一人は歩行もかなり厳しく、正直なところ車椅子の方が良いのでは?と思うが、脚の衰え防止も考慮してではないかなと想像する・・が、一人で乗り降りができないほどだったので、流石に補助が必要だった。
もうお一人は、何度か席の譲り合いをしたことがあるのでお話しをさせていただいたことがある。

まず僕を含めて三人が電車に乗ると、いつもはほとんど全員が寝ているのだが、女性がお一人起きていた。ありがたいことにその人は席を譲ってくれる方だ。ちなみに、顔を覚えると同時にどの人が譲ってくれる人なのか、どの人がどこの駅で降りるかもだいたい頭に入っている。
そしてその女性が飛び跳ねるように一番重症のご老人に席を譲ってくれた。そこでホッとしたのだが、その動作で数人がいたたまれなくなったのか、同時にお二人に席を譲っていただく結果になった。同調圧力。個人的には嫌いな状況ではあるんだけれど、「すぐに降りますから」とお言葉をいただいたのでご厚意に甘えることにした。有り難いなと感じた。

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顔見知りのご老人は僕の隣。早速話しかけてきた。「今日は座らせてもらえたね。」とちょっと微妙な笑顔。このご老人、以前にこんなことを言っていた。
「譲ってくれないでゲームしたり寝てるヤツらは叩き起こしてでも座らせてもらいたい。だけど、譲ってくれる人は良い人だから、席を奪っているみたいで申し訳なくなる。」と。だからこその微妙な笑顔なのだろう。僕も同じように感じていたので、その頃から会えば話をするようになっていた。なんでも、もう88歳でボケ防止と少しでも身体を動かすようにと電車とバスを1時間も乗り継いでスポーツジムに通っていらっしゃるのだそうだ。なんたるバイタリティ。その世代のたくましさだろうか?彼の様々な状況がそうさせているのか。本当に凄いチカラだと思う。僕だったらそんなモチベーションは維持できそうにない。

僕は会社まで1時間半。座れない時には会社に着いた時点でダウンすることもある。そのままオフィスビルにある保健室に直行してしばらく休む。保健室がある時点で恵まれてもいるのだろう。歩くだけでもかなりのエネルギーを使うのだが、流石になんとか会社にたどり着くと、そこで緊張の糸が切れる。そのままへたり込んで立てなくなるという感じだ。だいたい、月に2〜3度はあるから、会社からしたら迷惑な話だろう。その点は会社に感謝している。これは本音だ。

 

顔見知りで会話をするのはこの杖のご老人だけではない。他にも以前に席を何度か譲ったことがある妊婦さん(いつも「無理。杖の人からとか、無理だから」で押し問答になる素敵な人だ)、やっぱり譲り譲られで結局は僕が押し切ることになる年配のご婦人(まさか母親くらいの方を立たせてなんておけないだろう)、僕よりも少し若いくらいのガッチリとした身体つきのお兄さん、僕よりも高齢だが(おそらく60歳前後)の品のあるサラリーマン。このサラリーマンのおじさんとは何度か話をして、最初からではなく途中で交代してもらうことにした。いきなり交代してもらったらこのおじさんは40分ほど立ちっぱなしになる。やっぱり年上の方には罪悪感があって、こちらから相談を持ちかけてご承諾をいただいた。お互いそれが一番気分が楽だろうということだ。

 

今朝のご老人は先に降車する。降りぎわに「そいじゃお先に。また見掛けたら声を掛けて。お話ししましょ。気を付けてね。」と声をかけられた。いつも「寝てるは足を組んでるわで優先席のマナーは最低だ」と憚らずに言っている僕だが、今日はなんだか気分が良い。こんな日は体調も良い。つくづく身体は心の入れ物だと思う。
そうそう、ご老人が今日も言っていた。「妊婦にも席を譲れないような大人にしちまったのは俺たち(世代という意味)のせいだな。教育が悪いんだよ。」と。その中に僕自身は入っていないだろうか?ちょっと不安になりつつも、でもきっとこの人のお子さんはそんな人間じゃないんだろうな・・と思った。

 

良い朝である。と同時に、譲っていただいた方々、どうもありがとうございました。