南瓜の馬車 〜いいわけでも許して〜

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【結果あり】MotoGP 第11戦 チェコ ブルノGP

雨は荒れる。まあ、それはいつものことでもあるんだけど。

今回は路面コンディションが変わるタイミングがドラマを生み出したと言って良いだろう。

 

今回はレインコンディション。だが、既に雨は上がっている。コース上はまだ完全なウェットで、ウェット宣言がされたレースであった。スタートは前回の1,2フィニッシュで気をよくしたか、Ducati勢がレースを引っ張る。一時はレディングも含めた1,2,3を占めた。

しかし、雨は既に上がっている。コース上の雨がどのタイミングで乾き始めるかが結果を決めたかたちになった。多くのライダーが前後にソフトコンパウンド。その中でロッシがリアにハードコンパウンド(のレイン)のためか、序盤は中位以降で順位が上がらない。これは失敗か?と思われた。

 

そして残り12周目辺りだろうか。ロッシが猛追を始める。この頃になるとブレーキングポイントでコースが乾き始めているのが確認できる。しかし、猛追はロッシだけでは無かった。なんと、カル・クラッチロウが前後ともハードコンパウンド!

残り7周辺りではもう前後ソフトのマシンとは明かにスピードが違う。ソフトコンパウンドを選択したライダーはマシンを早めに起こし、加速時のタイヤの負担を減らそうと苦労し始める。しかしタイヤの消耗速度が早い。この辺りになるとイアンノーネのフロントはブレーキングで不規則なバンピングを起こしている。これはタイヤの表面が剥がれ始めてるんじゃ・・と思ったらスロー映像が出た。イアンノーネのフロントからタイヤ片が飛び散っているのが見える。こうなるとこの時点で既に勝負あった!というところだろう。

クラッチロウはイアンノーネを慎重にかわし、そのまま引き離してフィニッシュ。ただ、クラッチロウは転倒の多いライダーでもあるので、正直に言うとラストラップの最終コーナーまで冷や汗もんだった。解説によるとイギリス人ライダーがトップカテゴリーで優勝するのは、なんとバリー・シーン以来。実に1981年にYAMAHAで優勝して以来だろうか。

つーかだね、クラッチロウ、優勝おめでとう!!!

以前に書いたこともあるけれど、僕はペドロサとクラッチロウのファンでもある。走りは対照的ではあるが、クラッチロウのファイト溢れる走りは以前から好きだったのだけれど、ここのところなかなか上位に食い込めず、歯痒い思いをしていたが、ついに結果を出したわけだ。

 

レースの明暗を分けたのは、タイヤ選択だけではない。むしろ、コースの乾くタイミングが一番の要素だろう。コースがもっと早く乾けば、レイン宣言をされている以上、トップを走るライダーは早めにマシンをスイッチしたハズだ。乾き始めたのが残り10周を切った、見た感じだと残り7周くらいであったことがクラッチロウの勝利を後押ししたとも言える。もちろん、クラッチロウが運だけで勝ったのではない。他にも前後ハードコンパウンドを選択したライダーはいたのだから。

 

最終結果を見ると、もうひとつ驚くことがある。4位から8位までがDucatiであることだ。今回はタイヤ選択が明暗を分けたが、ここのところ仕上がりの良さをみせるDucatiが今後のレースの台風の目玉になるだろう。

 

また、前後ソフトコンパウンドで3位を走りきったマルケスは流石と言うしか無いだろう。予選でのスリップダウンぎりぎり(というか、ほぼ転んでる)からリカバリーする映像も流されたが、あのコントロール能力はずば抜けている。ちょっと信じられないレベルだ。

逆に、2回のマシンスイッチで結局最下位となってしまったロレンソ。どうもここのところ生彩を欠いてあるのが気になるところ。まあ、移籍も決まっていることもあり、今後のレースでモチベーションを欠かないことを祈りたい。ロレンソはやっぱりトップライダーなのだから、そんなことは無いと思うが。

 

とにかく荒れたレースだった。バズが一時期、表彰台圏内を走っていたり、普段は中位を走っているライダーが上位に来たりと、そういう意味では面白いレースでもあった。今回は、タイヤ選択、コースコンディションも味方に付けたカル・クラッチロウの圧勝と言って良いだろう。もう一度、おめでとう!クラッチロウ!