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南瓜の馬車 〜いいわけでも許して〜

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【ネタバレ】映画:ザ・コール [緊急通報指令室]

昨日の時点で今年観た映画が100本に達した・・けれど、劇場で観たのはたったの2作。基本的に身体の関係で劇場に赴くのは「これは劇場で観たい!」というものだけにしているが、それでも少ないかなと。その分、自宅の環境でたくさん観ているわけだが。

昨日のブログにも書いたけれど、まだまだ腕が治っていないので、若干短めですみません。

 

さて、久し振りのハル・ベリー。ハル・ベリーというとどうしても「X-MEN」の「ストーム」という印象が付いてしまっているけれど(個人的な感想ですが)、そもそもハル・ベリーは映画「チョコレート」でアカデミー主演女優賞を受賞した俳優でもある。「チョコレート」の彼女は大人の女性の複雑な恋愛と人種差別問題を魅せてくれたが、この映画「ザ・コール[緊急通報指令室](原題:「MONSTER'S BALL」(怪物の舞踏会)」では緊迫感溢れるアメリカの緊急コールである「911オペレーター」として登場する。

 

そもそもとてもスタイリッシュで美しい女性であるし、黒人初のオスカーを手にした人物、そして3度の離婚でその日常生活にも多くの人が焦点をあてる人物、「007 ダイ・アナザー・デイ」ではボンドガールにもなった女性である。「チョコレート(原題「Monster's Ball」(怪物の舞踏会)」のような大人の女性の複雑で痛ましい心理を演じたかと思うと、「X-MEN」では天候を操り、嵐を起こして闘うド迫力の超人を、そして「キャットウーマン」のようなちょっとB級っぽいアクション映画などにも出ている。多彩な俳優とも思うが、どれが本当の彼女なのか?と思える女性でもある。

関係無いが、「チョコレート」はなぜかBlu-rayにすらなってない。とても残念。

 

ストーリーの概要はこうだ。

911オペレーターの彼女は、ある緊急通報でのミスで、一人の誘拐された少女の命を失ってしまう。それがトラウマとなり、彼女は現場の第一線から退き、新人研修担当になった彼女だが、そこに再び少女の誘拐が・・。

こうやって見るとありふれた映画のように思えるが、とにかく緊張感の持続が凄い。一度引き込まれると彼女に感情移入してしまい、どっぷりと彼女の心境にハマりこんでしまう。演技は既に折り紙付きでもある。誘拐された少女との電話でのやりとりをする緊迫なシーンでの表情や口調、明るい時の落ち着いた笑顔。演技が素晴らしい。

彼女の素晴らしさは外見の魅力のみに収まらない。表情と「間」が絶妙だなと思う。甘い場面での彼女、そして驚愕したときのその衝撃、こちらまでジリジリと伝わる緊張の熱気がある。こういうのを「手に汗を握る」というのだろう。

 

この映画でも、電話のみを通じて少女を救う、そして以前のミスによる誘拐された少女の死を乗り越える姿が良く描かれていると感じた。とにかくテンポが良いしスピーディーな映画だ。頭はすっかりハル・ベリー演じる「ジョーダン」になりきってしまう。冒頭の切れた電話の折り返しをしてしまった時には、思わず「あっ!!」と声が出てしまったほどだ。

彼女は年齢を考えるとベテランの一歩手前のオペレーターだろうか。緊急通報における一言一句の重みがヒシヒシと伝わってくるし、一瞬の状況判断がいかに大切か分かる。相手の心理状態に合わせて、どうやったら冷静さを維持させるか?など、見たことも無い現場なのに、リアルな緊迫感がある。

そして、この「911オペレーター」が如何に人間としてのコミュニケーション能力を必要とされるかをひしひしと感じる。同時に、その責任という重圧がひどく重いことも。長く続けていたら心身を病んでしまいそうだなと感じた。

 

序盤から中盤、そして怒濤の最後まで目が離せないし、 良くできた映画だと思う。だが、この映画の評価は、最後のシーンの捉え方で大きく変わるだろう。

少女を助け出した彼女は少女の提案で犯人を地下室に置き去りにしたままその場を去る。これを「報復として見殺しにした」と取るか、それとも「犯人に充分な報いを受けさせた後、通報させて逮捕させた」かである。多くの人は前者と受け取り、残念な映画だと語っているが、僕はそうではないと思う。

よく考えてみて欲しい。犯人は前科のあるシリアルキラーなのである。であれば、少女が救出された後にも警察の操作は続き、いずれ犯人の生死に関わらずその存在には行き当たるだろう。であれば、彼女達は自ら憎むべき「殺人者」になるのだ。そんなことがあるだろうか?そこまでのハル・ベリー演じるジョーダンの人柄を考えれば、とてもそんなことができる人間ではないと思う。これは甘過ぎるだろうか?いや、映画全体の流れを見ても、最終的に犯人は「誘拐された人間の気持ち」と「死」を味わうことになり、己の罪を強く自覚することと思う。「どうしようもなかったんだ」という犯人のセリフからこういった犯罪は精神の異常に帰するものであることが多い。もちろんそれを許してはいけないが、法の側にいる人間がそういうことをしたら「アメリカの正義」すら揺らいでしまうだろう。アメリカ映画はそういうことをひどく嫌悪すると感じている。

 

ということから、犯人は後日・・おそらくそれほど経たないうちに通報されて発見され、逮捕されるのがもっとも可能性の高い結末だと僕は思う。

 

映画そのものに複雑さはなく、時折挟まれる犯行露見のキッカケが自然で流れが良く、それでいて緊張が持続する良作であると思う。

 それにしてもハル・ベリーは本当に美しくスタイリッシュだね。ちょっと性格がキツそうなので、個人的には苦手な女性な気はするが。(^_^;)