南瓜の馬車 〜いいわけでも許して〜

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Fiio X1がスッキリ系でなかなか気持ち良い

亀の子(アンプとプレイヤー等のスタッキング)は絶対にするものかと思ったこともありました、僕にも。

音楽業界がハイレゾって言葉で少し活気を取り戻しつつある今。色々なイベントで所謂ハイレゾ対応を謳った製品を手に取って試してみたけど、今一つピンと来ない。それはそれである程度は当たり前で、耳はそれまで使っていた組み合わせに慣れているのである。今まで慣れている音質と違うものが飛び込んできても違和感の方が強くなることは仕方のないこともある。
更に、イベント会場だと周囲の喧噪でなかなか集中して音を拾うことができない事情もある。とにかくどれを聴いてみても「こんなものか」程度でしか感じ無かった。

実はWalkman Aシリーズが出た時に、懐かしさもあるし少々期待していたが、最初に聴いた時にどうにも抜けの悪さというか濁った音を聴いて、やっぱり「こんなものか」と思ったりもする。今考えれば、僕の普段遣いのイヤホンが72ΩもあってAシリーズだとアンプを挟まないとまともに鳴らせられないのもあったのに、その辺は失念もした。

で、そんな感じでいくつかのイベントが過ぎた今の構成がこれである。(^_^;)

イベントの後に量販店や専門店でFiio X1を聴いてみて、フラットで透明感のある音がすこぶる気に入った。今までWalkmanよりもかなりマシだと思っていたiPhone + HF Playerの組み合わせがそれでもなお音の濁りがあることに気が付いた。試してみようと思ったのは価格の手ごろさが理由だろうと思う。とにかく、買ってしばらく聴いてみようと思っても不思議でない手ごろ感に負けたわけである。幸いにしてメインに使っている10proリモールドとも相性が抜群に良いと感じる。

更にさらに。

聴き続けつつ、色々な情報をかき集めてみると、LINEアウトの音が凄く良いらしい。これは上位機種(X5とか)も同様らしいが、お手軽なポータブルアンプも試してみたくなるのは人情というもの(^_^;)だろう。

で、気が付けばネットで探せば4千円以下で買えるアナログアンプをスタッキングして聴いているわけである。これがもう1ヶ月ほど前のことである。

選択したポータブルアンプは「Topping NX1」というもの。色々なところで探してみても実機が見当たらない。試聴せずに購入するのは怖くもあるが、なにせ4千円以下である。調べてみるとアンプも大したものが載っていない。でも、噂のLINEアウトの良さも試すのなら悪くはない・・そう考えたのである。結果?もう大満足。
ちなみに、スタッキングはアンプに添付されていたゴム製のバンドを使おうと思ったが、どう配置してもX1のボタンに干渉する。そのため、粘着性があり貼り付けるタイプのものを使った。100円ショップなどで売っている制震シートと似たようなものだ。結構強力に貼り付いていて、それでいて剥がす時もユックリと力を入れると簡単に剥がれる。

さてさて、まずはX1からの評価を。
X1はフラットで精細感が高い。ボリュームは72Ωの10proリモールドでも半分前後。ボリュームが100段階に分かれていて、これがとても良い。iPhoneだと音量が小さいと思って一つ上げると今度は大きすぎると言うことを何度も経験してきたが、これはちょうど良い位置にできる。これはとても便利。

・音はスッキリ系のフラット
・楽器の分離が良く、艶っぽさがある
・ボリュームが100段階で便利
・ハードボタンはやっぱり便利
・歌詞を表示する機能が無いのは残念
・電源長押しは少しまどろっこしい

まとめるとこんなところだろうか

手持ちにあるハイレゾを流してみるとHF Playerとはもうまったく違うマスターを使ってるんじゃないの?と言うくらい違う。精細感が高く個々の楽器やボーカルが艶っぽい。ある程度の色を付けたければイコライザーを弄っても音の変化は緩やかで歪みも少なく感じる。音自体はスッキリ傾向でこれを物足りないと思う人はたくさんいるだろうと思う。ただ、今までインピーダンスの高いイヤホン/ヘッドホンを付けた時の濁りや籠もった感じはない。好みの音だ。

これだけでも十分乗り換えの理由になるが、これに安物のアナログアンプを組み合わせてLINEアウトで出してみた。正直、そんなに変わるもんじゃないと思っていたが期待?は裏切られた。個々の楽器の分離はそのままに全体的な音の厚みが増して、それでいてフラットな部分はそのまま。うまく表現できないのだけれど、大昔にアナログレコードを聴いた時のような感覚になる。何と言うか、音の「デジタルっぽさ」を感じ無い。それいで楽器の艶っぽさはそのままなのである。NX-1の感想を書くと以下な感じ。

・変な色づけがなく、単純に底上げ
・音の厚み(うまく表現ができない)が増す

ここからiPhoneに戻してみる。なんと濁った音なのだろう。楽器の音が分離していなくて濁っている。楽器の余韻もなんとなく汚い。ただ、音場の作りみたいなものが上手いと言うか、包まれている感覚はやはりiPhoneの方がある。これは人によってアリなんだろうな思うし、そもそもイヤホンやヘッドホンが違えばまた感想は変わるだろうし、好きな音というのはそれぞれ違うものでもある。

あまり適切な言葉に表す手段を知らないので恐縮至極なのだけれども、今までだと思わず飛ばしていた曲も気持ちが良いし新たな発見があるわでとにかく楽しい。いや、凄く楽しい。

X1についてはハードボタンの恩恵を感じる。スクロールホイールはあまり剛性が高くなく、動作の緩慢さもあって曲選択やメニュー選択にもたつく傾向がある。まあ、これは慣れる。問題は2個。僕は今までiTunesでプレイリストを作って、それをiPhoneに同期させていた。これがいかに手軽だったかを改めて思い知らされる。例えば急に聴きたい曲が1曲出たとする。これをアーティストから辿るか、該当するプレイリストから選択する必要がある。iOSのプレイヤーならある程度目的のアーティストの近くのアルファベットに飛び、そこから数スクロールで目的の曲に達することができる。
これがX1だとスクロールホイールをグルグルグルグルグルグル・・となってしまうのである。これは相当面倒くさい。

そもそもマスストレージのプレイヤーで、曲をフォルダ管理にしている人は何の違和感も無いし、使い方にも工夫をしていると思う。ところが僕はそうじゃない。プレイリスト間に曲の重複もたくさんあるし、今更同じ曲を異なるフォルダ管理にすることなどできない。そもそも音楽ソースは家人と同じものを別のMacアカウントで使っているのだ。ファイルそのものを容易に動かすわけにもいかない。つまり、iTunesでの管理は基本事項なのである。

ネットで色々とツールを探し、「Dapper(AppStoreを探せばある。アプリの紹介はここ( http://www.map-pin.com/dapper/ )」という同期ソフトを見付けた。2千円。高い。たったこれだけの機能なのにメチャメチャ高いと思ったのだが、X1 + NX1からiPhoneに戻ることなどできない。仕方がないので乗り換えることにした。ここでの問題は2個。

(1) iTunesにて、同期したいプレイリストの頭に「Dapper」と付けなくてはならない
(2) プレイリストがUTF-8で吐き出されるため、文字コードが正確に認識できない

(1)については格好悪い。ただ、X1側では先頭の「Dapper」が切り捨てられるので問題は無いが、iPhone側にはしっかりと「Dapper」と入っている。まあ、普段はX1で聴けば良いので僕にとっては問題が少ない。

問題は(2)だ。UTF-8だと文字化けというよりも、例えば「イイナヅケブルー」という曲があるとする。これが「イイナツケ゛フル゛ー」という具合になる。当然曲のファイルは認識できない。ネットだとUTF-16だと安定しているとあったが、試してみてもダメ。あれこれと試してみたが、どれもダメ。エディタでひとつひとつ文字コードを試したがダメ。一括変換のツールとしてMac用の「MultiTextConverter( http://www.rk-k.com/software/mtc )」を使ってみたがダメ(ちなみこれ、超便利!)。
そこでハタと気が付いた。これ、MacとWindowsの文字コードの違いの問題じゃね?

と言うことで文字コードをShift-JIS、機種依存設定をWindowsで出力してみたらビンゴ!
2015/3/2 再度試してみたらダメだったので、今度は以下の設定で一括変換。とりあえず問題はなくなった。

2015/3/6 うーん、またダメに。今度は出力されたファイルを一旦JISに、その後に再度UTF-16にしたらとりあえずOK。これでしばらく様子をみます。そもそもDapperが頻繁にアップデートされているので、そのうちに直ることも期待しています。

ここまでに数時間を要した。我ながら間抜けである。

とりあえずこれで問題は減った。

・iTunesの同期したいプレイリストの先頭に「Dapper」と付ける
・Dapperを使って同期
同期が終わったらX1内のプレイリストをMultiTextConverterを使って文字コードを一括変換

少し手間はあるが、この程度なら問題ない。そんなにプレイリストも弄ることは無いだろうし。

追記 2015/07/24
こちらに新しい記事があります。結局、iconvを使ったスクリプトを作りましたので、そちらを参考にして下さい。

http://blog.hatena.ne.jp/rei1963/rei1963.hatenablog.jp/edit?entry=8454420450100943082

今はこの状態で非常に満足に音楽を楽しんでいる。最初はLINEアウトはイコライザーが使えないので心配していたのだが、上から下まで綺麗に出る。ボーカルが前に出てくるのは苦手なんだが、ボーカルの質が良くてそれすら楽しめている。楽器の粒子というか分離というか綺麗に別れていて、心地良い。フラットなところが自分の好みににピッタリ。低音の量感が多いと頭が疲れるし、高音のシャリ付きも同様。何となくデジタルっぽさと言うかパリパリ感みたいなものが少なくてとても好きな音になった。しかもこれ、microSDの価格を除けば2万円ちょっとで手に入るのである。もちろん、音の傾向は人によって違うし、最近の多ドライバ人気でその手の音に慣れた人にはアッサリとし過ぎているのだとは思う(ちなみに、僕は多ドライバの音は音の数が多くて疲れるので、何度聴いても苦手)。しかし、毎日の1時間程度の通勤だけでなく、今は昼休みや家で寛ぐ時にも使っている。個人的にはそれほど気に入った。

もちろん、AK240だって気になるしハイエンドと言われるDAC/アンプも気になってはいるが、それはもう少し先である。今はこれで大満足!