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南瓜の馬車 〜いいわけでも許して〜

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唯一無二の音だったが・・(Bose SoundTrue Ultra)

毎日カスタムIEMを使っていると、たまにその閉塞感が苦痛になる。耳をピッタリと栓をしているわけで、経験のある人には理解できると思うんだけど長時間耳栓を付けていると気持ち悪くなったり頭痛がする。あれと同じである。

なので、補聴器を作る際のインプレッション採取も基本的には片側ずつやるのである。両方一度にやると不安になるらしい。まあ、短時間なので業者によっては一度にやるケースもあるのは事実だが。

 

と言うことでたまにどうしてもヘッドホンに戻りたくなることがあるのだけれど、ヘッドホンはやっぱり煩わしい。音場の広さ、開放感、特に開放型のヘッドホンだとその鳴り心地はスピーカー程度・・とは言わないがかなり快適だ。もちろん遮音性を犠牲にしているわけで、音はダダ漏れなのだが。

 

そんな中で唯一、BOSEのIEシリーズイヤホンはセミオープンの特性と特徴的なイヤーチップのおかげで快適で開放的な音だった。ただ、BOSE特有のサウンドというか、良く言えば包み込む様な穏やかで疲れない聴き心地、悪く言えば原音に忠実ではなく作られた音が苦手な人はいるだろう。

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それにセミオープンはどうしても音漏れがする。それを解決したのがこの「Bose SoundTrue Ultra」である。たまにカスタムIEM以外を使いたくなった時のために買ったものだが、100時間を超えたので簡単にレビューしてみる。

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ちなみに、僕はIE2を2回(一度は断線したので買い直した)、Bose FreeStyle earbudsスポーツイヤホンも買っている。音はそれぞれ違うが、その2つを統合し進化させたのがBose SoundTrue Ultraと言える。

 

音の感想をそれぞれ書いてみよう。

BOSE IE2はそのイヤーチップの形状が意図している通り「耳に置くだけ」というイメージだ。なので圧迫感が皆無だ。昨今のカナルイヤホンのチップの圧迫感を嫌う人は多いだろう。それを嫌う人にはうってつけだ。

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セミオープンのため、音場は広い。正直なところ、イヤホンでこれ以上広い音場のものを知らない。そういう意味で唯一無二と言える。

音色は低音が強調されるちょっと前のBOSEらしい音だ。包み込まれるような音がとても気持ち良い。反面、精細感が足りず、音の定位も作られたような感覚がある。しかしそれがとても気持ち良い。何時間でも聴くことができる快適性がある。

問題は先ほど挙げた遮音性がまずひとつ。外の音が遠慮無く入ってくる。もちろんそれを好む人が多いことも理解しているが、地下鉄で使おうとは思わない。遮音性の低減は同時に音漏れにも繋がる。

それからBOSEらしいとも言えるのだが低音の量がかなり多く、柔らかいというよりはボワついた低音がする。これが好きだという人もいるのだが、苦手な人も同様に多い。もうひとつ。ケーブルの耐久性が低い。1個目は2年ほどで断線してしまい、2本目も同じくらいの時期に断線しかけている。被覆が硬くなりヒビが入ってしまうのだ。この点は改善されていると良いのだが、今のところ分からない。

 

次ぎにBose FreeStyle earbudsスポーツイヤホン。

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これはIE2に防滴仕様をほどこしたものだ。水の浸入を防ぐ処理をしてあるせいか、音はIE2と微妙に違う。ドライバも違うと思えるのはまず、高域が若干伸びていること、低音が控えめになっていることだ。遮音性も少し高くなっているが、これは筐体に合わせて絞ってあるようにも感じる。

それでもIE2ほどではないが広い音場と低音の豊かさはある。音が少し硬いかなとも思うがこの音場の作り方は本当に巧いと思わせる。防滴仕様にしたことと、イヤーチップに付いているウイングサポートが耳からのズレや落ちを防いでくれる。これならランニングマシンを使っても快適に使えるだろう。

ただ、同じように遮音性はかなり低い。外からの音の侵入、音漏れは同様にある。被覆の状態はまだ1年ほどの使用なので分からないが、見たところ同様に感じるので若干不安があるのは確かだ。

 

最後に一番新しいBose SoundTrue Ultraだ。

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こちらは前者の2機種とは明らかに違う。大きく変わっているのは、小さいドライバに変更となり筐体が小さくなっていることだ。つまり、音質は上記の2機種とはまた違う音になっている。

それからイヤーチップがQC20でも採用されている2段フランジのものになっている点だ。このイヤーチップ、一度量販店などで体験してみると良いだろう。耳の穴に吸い付くような感覚が凄い。カナルのように力を入れて押し込む必要などない。かるく耳に載せてほんの少しだけ押してあげれば良い。イヤーチップのサイズが合っていれば、まるで吸盤のように吸い付く。これはちょっと驚きだ。そのおかげで遮音性は格段に上がっている。標準的なカナルと同程度ではあるし、Complyなどには及ばないがこの遮音性で快適さを両立しているのが凄い。IE2ほどではないが、圧迫感は皆無。流石にこの2段フランジは「装着しているのを忘れてしまう」ほどではないが、何時間でも聴いていられる心地よさがある。

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ただ、これも問題がないわけではない。遮音性のためにあの広大なBOSEらしい音場の広さが若干スポイルされている。それでも通常のカナルイヤホンに比べたら格段に広いのだが。

それに合わせてドライバも開発されたのかも知れない。低音は以前よりもずっと控えめに、高域の伸びがとても良くなっている。遮音性の向上のせいか、ドライバのせいか、精細感も随分上がっている。おそらく両方の恩恵だろう。傾向としては弱ドンシャリだろうか。昨今のドカドカの低音が響くような音を期待してはいけないが、個人的に聴きやすく楽しめるのはこの辺りに大多数があるのだと思う。

面白いのが、音場は狭くなっても「やっぱりBOSEの音場」である点。今までのBOSEを知っている人は低音の少なさに不満を持つかも知れない。だが、最近のBOSEはヘッドホンでも同様の音質傾向にあり、ある意味一貫性があるとも言える。これが今の「BOSEの音」なのだろう。

 

そうそう、ひとつ忘れていた。このシリーズだけに限らないのだけれど、このシリーズはある程度の鳴らし込みが必要だ。新品を一聴すると「なんじゃこりゃ?」になる。硬くてバラバラな音。低音出てる?これ?って感じになる。しばらくは我慢して聴くか、ある程度鳴らしてあげる必要がある。

 

音の粒を確かめるような高精細感と楽器の定位を持つカスタムIEMとこのBOSE IE2は両極にあった。だからこそ使い分けが可能であったのだが、Bose SoundTrue Ultraはその良いとこ取りをしていると思える。流石にカリカリに聴きたい時にはカスタムIEMの出番だが、気軽に音楽を楽しみたい時には十分満足できる音質で聴くことができる。現在僕の常備イヤホンはこの2機だ。こうやって外出時にも違う味わいができる幸せ。良いイヤホンだと思う。

ただ、IE2の唯一無二が若干薄れてしまったことは残念でもある。