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南瓜の馬車 〜いいわけでも許して〜

日常生活で思うこと、電子ガジェット、オーディオ、映画、小説を紹介するサイトです。

カスタムIEMを自分でリフィットしてみた

新しいカスタムIEMが届いてから5ヶ月。音質的には当初は想像していたのと違って戸惑っていたけれど、300時間ほど鳴らしたところ、現在は満足できる音質になっている。滑らかでフラット。僕の大好きな音だ。

 
出来上がって最初に問題があったのはフィット感。左側が動くと微妙に浮くのと、右側が少し緩くてほんの少しではあるが外部の音の侵入が左よりも大きめだったこと。ただこれは、以前に作った10proリモールドでも同じ傾向があったから耳の形状の問題なのかな・・と思っていたのと、リフィットに出して何度もメーカーとの往復にかかる時間、そして最終的にそれが満足のいく結果となるのかが少々分からないということもありリフィットには出さなかった。もちろん音楽を流せばまったく気にならず、そういう意味では問題ないレベルではあったということもある。
 
で、これって自分でできないものなのかなぁ・・と思ったのが割と最近のこと。もちろん、自分でリフィットしたら保証対象外になると思われる。実はイベントの際にメーカーさんにも直に訊いてみたのだが、やっぱり良いお返事はいただけなかった。
それでも手元を最低でも一週間、長ければ一ヶ月、しかも状況によってはそれが何度か往復することを考えると、どうしても自分で手を入れてみたくなる。
 
ということで、まずはあくまで試しに右側の緩さを解決する方法を考えた。
 
最初はどの部分を盛れば良いのかまったくノウハウが無い。下手に弄って失敗しても困るわけで、色々と考えたところ本体を指で抑えたりしつつ、ここだと思われるところに絆創膏を切ったものを貼り付けてみた。絆創膏を選んだのは材質が柔らかいこと、粘着力が比較的強力であること、肌に優しいことだ。どこを盛ればどうなる?ということを確かめたいだけなので、小さめに切った絆創膏を色々な場所に貼って試してみた。
 
まずはノズルの部分に若干の段差がある部分。耳道に段差があるというのは考えにくかったので、そこは滑らかにするだけで良いだろう。イヤホンを耳に当てた状態で上に押したり下に押したりして密着度が変わるかどうかを確認し、とりあえずカーブの内側が若干痩せ気味だと当たりをつけた。本体を無水エタノールで拭いて余分な油分を除き(耳の中で剥がれないように)、ノズルの内側に大きめの米粒ほどのサイズにカットした絆創膏を貼り付けてみた。
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とりあえずビンゴ。もちろん、絆創膏自体の厚さで生じる段差があるので完全では無いのだろうが、それだけで遮音性が格段に上がった。左右で比べてみるとまだもう少し緩いが、これは厚さをコントロールすれば良いだろう。しかし、これは内側を厚くしたことで外側が押されて密着度が増しているとも言える。ということで外側に貼って試すこともやってみた。ここが少し段差がある部分である。
内側に貼り付けた時よりは弱いがやっぱり遮音性は上がる。ここでちょっと悩む。結論としては実際に薄く盛ることを何度か追加してみるしかないと結論付けた。
 
さて、次は盛る材料。ネットで探してみても適当な解説記事は無かったが、そもそもUVで固めてあるのだからUVレジンで間違いないだろうと考えた。そう、アクセサリーなどを作るものだ。
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とりあえず黄変などがなく、評判の高いUVレジンを購入して試してみることにした。いきなり本体で試すのはためらわれたので、使っていないイヤホンに薄く塗って太陽光に5分ほど当ててみる。薄く伸ばすのには爪楊枝を使った。意外に粘度があるので変に流れることもなく、気泡は突いてやると簡単に消える。丁寧に慎重に伸ばしてから太陽光に当ててみた。
5分経過し触ってみると少し表面がベタついていることと、イヤホン本体が結構熱くなっている。うーん、これだとクリアシェルを透過してドライバや各素子に影響があるかも知れない。仕方がないのでネイルアートやアクセサリー作成用の紫外線照射器を買った。3千円もしないものである。
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もう一度実験。UVレジンには5〜10分の紫外線を照射と書いてあったので、今度は10分間、紫外線を当ててみた。結果、今度はシッカリと固まり、本体もそれほど熱くなくほんのり温かい程度。剥がれたりしないか塗ったところをドライバで齧ってみたが大丈夫。しっかりとくっついている。
ついでと思って、今度は厚めに塗って20分間照射してみた。すると、粘度の高いUVレジンでも徐々に垂れてくる。IEMはそもそも平たいわけではないので、やっぱり細かい調整も兼ねて薄めに塗り、足りない場合は徐々に足すしかないかと結論づけた。
 
次に、盛りすぎた場合の対応を念のため考えた。
これは割と単純で、表面をサンドペーパーでならした後にコンパウンドを何種類か使ってバフがけすればOKだろう。液が垂れたり、大幅に削る時にはリューターがあると良いが、今回は削るのみのところは無いのでバフ掛け以外には必要ないだろう。準備だけはしたが結局使わなかった。
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さて、本番開始。
ノズル外側の段差を滑らかにする。まずは本体のノズル部分を無水エタノールでよく拭き、UVレジンを少しだけ垂らし、爪楊枝で丁寧に伸ばして形を作る。ここで焦ってはダメだ。慎重に慎重を重ね、段差が綺麗に無くなった時点でUV照射器に入れた。あまり温度は上がらないので念のため15分。
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そして完成!
出来上がりは上々。パッと見て・・というか近くでマジマジと見ても境い目は分からない。粘度の高い液体でも乾く間に綺麗に広がったようだが、丁寧に整形したことが大きい。
本体は少し温かいので冷ましてから耳に付けてみる。この状態でも遮音性が上がっているのがハッキリ分かる。それでも左側に比べればまだ若干外の音は聞こえるが、その差はほんのわずかだ。
 
次にいよいよノズルの内側を若干盛る作業だ。工程は同じ。UVレジンを垂らして薄く伸ばしながら整形。同様に紫外線を照射。実は、内側もちゃんと触ってみると少しシワが寄ったようなデコボコがあった。それをならすように整形した。もちろん最初は薄めにして。
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終わって試着。うむ。この時点で問題ないと思われる。盛りすぎるのも怖いので、左右のシェルを耳にはめたまま30分ほど家で日常動作をしていた。結果、まだほんの少しだけ右側が緩い。ということで再度盛る。このくらいになると慣れたものですぐに作業は完了するし、盛り方も上手くなる。
結局3回目で良好になった。右側は完璧だ。緩くもキツクもなく、耳にスッポリと入る。首を上下左右に振ったり口を開けてみても、ちょっと隙間が空くことがあるがすぐに戻る。遮音性も問題ない。
 
で、このまま数ヶ月使っていたが、今度は右側の浮きやすいことが気になってきた。
今までの経験でこれを直すにはどこをどう弄れば良いのかまったく分からない。あまりそこらじゅう盛ってみるのは流石に怖い。
なので、ちょうどイベントの際にいらっしゃったメーカーさんに、大変申し訳ないが直接訊いてみた。「装着していると徐々に浮いてくるのですが、その場合はどこを盛るのでしょう?」ってな具合。すぐに返答してくれたメーカーさんに大感謝。シェルの下側の、ここを盛れば良いとのこと。
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早速やってみた。この場所なら盛りすぎても削って元に戻しやすい。
作業は紫外線照射も含めて30分で終わり。冷えた頃を見計らって装着し、やっぱり30分くらい付けてみた。まず、入る時の感覚がちょっと変わった。「パコッ」という感じで入る。そんなに変わると思わなかったので思わずビックリ。右側と同じように顔を上下左右に振っても、口を開けりしても少し隙間ができるがすぐに戻り、浮いてこない。あっけなく完了。
 
ただ、メーカーさんのお話だと、あまりキツクしてしまうと痛みもあるし、耳の形も変わってしまうので注意が必要だとのことだった。なので、もし自分でやってみるという方はその辺を注意した方が良い。また、あまり遮音性が高いと耳にもよくないと思われる。音楽を流さないではめていると不安な気持ちになるが、あれと同じだ。
 
最後に、最初に書いたがこれはメーカー保証外になる可能性が高い。なのでその辺をちゃんと念頭に置いて欲しい。正直に言えばリフィットを待てる人は当然プロに任せた方が良いだろう。あくまで自己責任でということで。
 
僕はこういう風にアレコレ自分で手を入れるのが結構好きだ。流石に機材を揃えて自作までは考えていないが、結構楽しかったことを付け加えておく。
 
追記 2016/01/27
最近、この記事の閲覧履歴が増えたので少し追加。こういうのあると便利。メガネに付けられて、使わない時は上に持ち上げられる。オッサンくさい?オレ、オッサンだもの。
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参考までに、紫外線照射や経年で黄変を気にされる方がいるが、今のところ問題ない。
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