南瓜の馬車 〜いいわけでも許して〜

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100時間鳴らしてみたので、CW-L15の感想を書いてみよう

100時間は長かった・・。

 
CW-L15が届いた直後の感想は前の記事で既に書いてあるのだけれど、100時間を越えたので改めてレビューしてみよう。ちなみに、以前に書いた通り、メーカーでは「2週間ほど普通に鳴らして下さい」とのことだった。環境はX1のラインアウト + C&C BH-2 のOUT1。10pro用のアッテネータは結局使っていない。ボリュームはだいたい9時の方向まで回る。
 
でだ。とりあえず。十分気に入っている。
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ただ、比較がユニバーサルのいくつかのイヤホン/ヘッドホン、10proリモールド、そしてイベントや店舗で散々試聴した機種との比較なので、あまり参考にはならないかも知れないことを先にご容赦願いたい。
 
音質は前と同じようにフラット。ただ、70時間を超えた辺りから篭りが取れて高域が気持ちよく出るようになった。手持ちの機種との比較をしても以前よりクリアだと感じる。ただ、高域よりのフラットという意見が多いけれども、僕的には普通にフラット。メーカーでは試聴機との差はあまり無いとのことだったけれど、僕の感じたところではかなりの差がある。試聴機とは雰囲気がだいぶ違う。試聴機とはだいぶ違うのに気に入ったというのも変に感じるとは思うが、この状態で試聴機を聴くと微妙に高域が痛い。この方がバランス的にはいい気がしてきた。慣れとは恐ろしいものである。
 
まずは高域。最初は「ひょっとしたら完成品は刺さるかも」と思った高域だったが、全然刺さらない。フラットと表現しているようにごく普通の量だと感じる。残念なのはもう少しヌケが良いと試聴機では思っていたが、実際にはそこまでヌケが良いわけじゃない。量感の問題なのか、キラキラした感は十分あるが刺さったりかすれたりするような音質ではない。よく締まった透き通った、それでいて過剰ではない楽器の音がしっかりと聞こえる。
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中低域も同様。試聴機では量が少なく感じたが十分に多い。僕はMaroon5やRihannaが大好きだけど、十分ドカドカと鳴る。シェルが自分用になった時点で多少増えるかなと思ったが、思ったよりもずっと増えた。ただ、多すぎることはなく、本当に「適度」。音はやっぱりBAらしい締まった低音で、量の問題なのか他の帯域に干渉することはまったく無い。ベースもバスドラも、他の低域もしっかりと個別に鳴りつつ、音楽全体としてまとまっているのが分かる。
 
音場についても書いておこう。これも標準的。10proリモールドはヘッドホンに迫る・・ってほどじゃないがかなり音の広がりがある。これは意図的かどうか分からないが中域が少し量感が少ないせいかボーカルが少し後ろに下がり、それによって広く聞こえているように思う。L15はそれよりも確実にボーカルが一歩前に出てきている。感覚的には中の上。多くの多ドラが肉厚で近く、かき集めたような音が鳴るのとはだいぶ違う。個人的には広い音場が好きなので、この点は少し残念に思うが、あくまでヘッドホンほどは広くなるわけはないし、必要十分と思うことにした。ボーカルの質は艶っぽくてかすれも刺さりもなくてとても良いのだけれど、古いCDだと途端に曇った音になってガッカリするのは仕方がないところだろう。ちなみに70年代の邦楽。
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さて、これだけだとつまらない機種に思えるかもね。ところがそうじゃない。
 
何というか実に滑らかでシルキー。音自体はBA特有の硬い音なのに、とても滑らかで肉厚な音が出る。どこかのレビューでドライバ数がよく分からないくらいに滑らかだと書いてあったが、僕も同様に感じる。3ドライバと言えばそう思えるし4ドライバと言われても納得する。極端な話、超広帯域なシングルドライバだと言われても「良いドライバだなぁ・・」と感じるくらいである。
100時間経った後に試聴機を再度聴きに言ったのだが、大げさに言っているつもりじゃないけれど、やっぱり試聴機のL15とはだいぶ違い、むしろ1964ears V8を試聴した時によく似ていると感じた。もちろんあちらの方が音の密度は高い。V8持ちの人が気を悪くされたら申し訳ないが、可聴領域が狭まったオジサンの戯言とでも思っていただければと思う。今はもうディスコンらしいが、V6もこんな感じの音だったように思う。最近話題?のLZ4やCT300 Proも気になっていたけれど、高域の透明感はL15の方が上だ。もっとキラキラなら1964ears QiやCW-L12だけれど、これだとクラシックが聴くに堪えない。あくまで僕には・・だけれど。
 
個々の音はシッカリと適度なエッジがあって音の粒は明確。しかし、それらはあまり距離を取らずに全体としてバランス良く鳴っている。10proリモールドはこの辺がちょっと違っていて、個々の音に微妙に距離がある。それが分離の良さとしてキレに繋がっているのは分かるのだけれど、音楽全体として見るとバランス的にはL15の方が「正しい」ように思う。正しいと書いたのは、その辺は好みの部類でもあると思うからだ。もう少しドンシャリと派手に聴きたいのならCW-L12を選択した方が好みだろうと思える。事実、同行した家人はL12の方が好きだと言った。もっと極端なら1964ears Qi、控えめなら同社のV6Sか、低音が多いのを嫌うのならV3でも良いと思う。このバランスで音数を増やしたいのならV8以外であれば個人的にはHeirAudio 10.Aが音場も広くてとても良いと感じる。多ドラが音が密集して分厚くて好きじゃないとは言ったが、10.Aはそれらとは違っていて広い。個人的には広い音場が魅力で、音の粒立ちが際立っている。だが、若干、低音の量感が多すぎるのが選ばなかった理由でもある。低音が多いと長く聴いていられないからだ。ただ、この辺はあくまで試聴機であることをお忘れなく。実際にシェルを作った場合の変化は、半分博打みたいなものだろう。
 
エージング100時間が適当かどうか分からないが、そもそもBAのエージングを信用していなかった僕としては、試しに耳が慣れたためであることを排除するために、一日異なる機種を使ったりしつつ評価してみたが、やっぱり初期の少し篭もった、荒れた印象とはだいぶ違う。キレイに2皮剥けた感じだ。ひょっとしたらもっと時間が経つと更に違うのかもと思える。
 
さて、こうやってみると「高域のヌケ」って部分では今一つだけれど、全体としてはとても良い音だと思う。ウチの家人はCW-L12をいたく気に入ったようだけれど、僕にはこのL15の滑らかさは捨てがたいものがあるな・・と感じたのであった。
 
追記
ちなみに他のアンプやiPhone、iPodでも試してみたが、基本的にこの延長線上の音だと感じた。BH-2がちょっとキラキラする感じが強いことはあるけれど。
それから、L型プラグはどうにも使い勝手が悪いと思うので、ストレートプラグに交換してみた。参考までに。
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