南瓜の馬車 〜いいわけでも許して〜

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Philips Fidelio S2の見通しの良さったらステキ

毎日お金が無くてピーピーしているわけだけれど、ちょっと前にずいぶん久しぶりに買ったイヤホンがあるのでレビューしてみようかと思う。

思い返せば最後に買ったヘッドホンはSennheiser MOMENTUM。つまり一年も前なんだよなぁ・・。昔はボーナス時期に必ず買っていたし、気に入ったものがあれば突発的に買っていたんだけど、最近はトンとそれができない。イヤホンやヘッドホンって、色々なシチュエーションである程度の時間聴き込んでみないと本当の傾向や自分の生活にマッチしているかなんて分からない。試聴機を一ヶ月くらい借りられるとか言う条件があればそれなりの評価はできるだろうけど、そんなものを提供してくれる奇特なショップは無いだろうしね。

ということで「Philips Fidelio S2」である。Philipsというと安価なSHE9000シリーズのデキがなかなかよくて、自分の中では「コストパーフォーマンスの高いブランド」という印象がある。実際にこのS2も当初は1.2万円くらいの値付けをしていたが、今では9千円も出せば買えるわけで、音質との兼ね合いを考えると非常にコストパーフォーマンスの高い機種だと言える。

さて、まずは外観や取り回しから。

単純にハウジングはツヤツヤとして綺麗。強度も十分なようで、一度足で踏んでしまった(^_^;)が何とも無かった。大きさも形状も耳への収まりが良い感じ。ただ、音を出すステムが少々短いと思う。そのためにイヤーピースは思ったよりは深く刺さらず、それによって低音が抜けてしまうような事態になる。もちろん耳の形状は個々人によって違うわけで、皆が皆、僕と同じような感想を抱くかは分からない。それでも他機種と比べてもこのステムは短すぎるように思う。

コードは流行の平型である。確かに絡まないのだけれど、個人的にこの平型はあまり好きではない。絡まなくとも捩れているとなんとなく気持ち悪いし、どうにも安っぽさを感じてしまう。円形のものでも絡みにくいものは実際にあるのだし、音質的にはどうか分からないが普通の円形の方が高級感がある。

それとこのリモコンもいただけない。ワンボタンであることは割り切りの結果だと思うが、実際に音量を上げ下げするシチュエーションはあまり無いと想像すればこれはこれで良いと思う。もちろん、すべてのユーザがゲイン調整を施しているとは考えにくいが、極端で無ければ大丈夫だろう。
問題は、角張った形状にある。シャツの襟に引っかかるのだ。ちょっと下を向いて顔を上げようとすると高い確率で襟に引っかかる。そんな些細なこと・・と思うだろうか?これが頻度が上がるとかなりのストレスになる。結局僕はこの角をヤスリで削ることにした。それでもコードとの隙間は存在するわけで引っかかることは引っかかるのだが頻度は下がった。今はこれで我慢している。

最後に音質の話をしようと思う。購入したのだから音質は好みなのである。ゴールデンイヤーだかなんだか分からないが、抜けが良く開放感のある音は素晴らしい。これはセミオープンであることを裏付けてもいるのだけれど、イヤホン独特の閉塞感がかなり少ない。そもそも僕はこの閉塞感がイヤで普段はヘッドホンをしているという事情があるのでこの抜けの良さは大歓迎である。もちろんそれにより遮音性の低下と音漏れの増加はある。遮音性は低いと言ってもBOSE IE2よりは十分マシであるし、音漏れも爆音で聴かなければそれほど問題だと感じない。もちろん「爆音」が個人によってどの程度のレベルかということはあるので、使用の際には事前に確認する必要がある。

音質的にはどちらかというと高音が優勢な感じ。低音は量は少なめだけれど割と締まった(あくまで価格を考慮して)低音は好きな音だ。高音は人によってはシャリついていると感じると思う。これは再生機器にもよるけれど、iPhoneでもシャリついて聞こえることを考えるとWalkmanだともっとシャリつくのではないだろうか?ただ、これもバランスが破綻するほどではなく、全体のバランスの良さ、精細感は十分にあると感じる。鳴り方がヘッドホンっぽい感じもあって、暑くなると手を出したくなるイヤホンでもある。

ただ、ダイナミックらしい音は好き嫌いが分かれるかも知れない。こればかりを聴いているとたまに硬質なBAの音が聴きたくなって10Proを引っ張り出してもみる。上から下までなだらかに音が出ている印象だけれど、その分、インパクトは少ない。それがこのイヤホンの良さでもあると思うが、どのジャンルでも鳴らせることが非個性な感じがしてしまう。とりあえず色々聴きたい、ヘッドホンはちょっと…という時に良いなと思うイヤホンである。