南瓜の馬車 〜いいわけでも許して〜

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MDR-ZX700(とりあえずのインプレ)

Sonyから10月10日の発売予定であったMDR-ZX700には大変興味があった。なので8日の金曜日に銀座Sonyビルで試聴機を試してみようと向かったのである。もちろん、試聴機としては上位機種のMDR-Z1000もあるのは承知していたのだが、ニュースリリースにWebサイトで紹介された記事によると、モニターライクで音場があまり広くないようなインプレッションが掲載されていたので、思いの外こちらには興味が沸かなかった。
ただ、価格帯を考えるとZ1000は4万円ほど、ZX700は1万円を切るとのことで、ZX700にはちょっと不安を感じてはいた。やっぱり2万円程度は最低でもして欲しいかな・・と思っていたのである。まあ、安いに超したことは無いのだけど、総じて「価格なり」であることは否めない。


写真はZ1000だけれども、聴いてみた感触としてはやはりZX700の方が音場が広く、好みの音であると感じた。しかし、Z1000は非常に解像度が高い。でも、とりあえずZ1000の販売はまだ先だから、発売日にZX700を買おうと決心したのである。

で、帰りについでだからと有楽町ビックカメラに寄ると、ZX700がフライング販売されているではないか!とりあえずあまり悩む値段でも無いのでその場ですぐに購入。そして今日まで数時間を試聴してみたインプレを簡単に載せようと思う。もちろん、エージングはまだだしそれほど聴き込んではいないのでその点は差し引いて読んで欲しい。


第一印象は、「あれ?低音が無い。」だった。そう、僕は今までBOSEを愛用していたし、最近まではPHIATON MS400を使っていた。これらは低音の量が非常に豊富な機種なのである。なので、最初はあまりにあっさりとした音に幻滅を感じた。しかし、一般的にはこのくらいの低音の方が普通かもと思ったのはそれからしばらく聴いてから。むしろ、これでも弱ドンシャリなのかなと感じる。
解像度は価格を考えると非常に高いと思う。Z1000にはさすがに敵わないが、それでも各楽器の鳴りも明瞭でぼやけた感じが無い。シャリ付きがあるわけでも無いが、高音も十分だと感じる。音場は極端に広いわけでは無いが、密閉型にしては抜けの良い印象があって悪くない。個人的にはボーカルがもう少し「遠い」方が自然だと感じるので好みだが、これは慣れの範疇だろう。

ただ、豊富な低音の量に鳴らされた耳では「包み込むような音場」の足りなさを感じる。ただ、銀座Sonyビルでの試聴機はもっと低音が出ていたし、音場も広かったと思うので、これはエージングに期待だろう。ちなみに、僕はエージングによる変化は「ある」と感じている。


フィット感は素晴らしい。低反発のイヤーパッドも気持ち良いし側圧も適切。イヤーパッドが大きいので耳もすっぽりと入るし長時間聴いてもどこかが痛くなるということは無かった。ちなみにZ1000とはイヤーパッドが違うが、これはコストダウンの結果だろう。ただ、頭頂部のアームの部分のパッドが何故か薄くなっていて(これはZ1000も同じ)、少しチープに感じる。チープと言えば、全体的な質感もチープだ。ハンガー部分もプラスチックだしカップ部分の艶消しが凄く安っぽい。値段が値段だから仕方がないところかも知れないが、これはZ1000も同じで、イマイチいただけないところだと思う。


写真だと分からないが、ヘッドホン自体はかなり大きい。それでもXBシリーズに比べればカワイイもんだけれども、アームが横に張り出して格好悪い。まあ、装着している時は自分では見えないのだけれども、高級感のなさとこの部分はどうにかならなかったのかなぁ・・と思う。

総じて価格を考えると良いデキでは無いかと思う。音の印象があまり無いのは優等生な証拠だと思う。ZX700とMS400を交互に聞き比べるとその違いは歴然。MS400はZX700に比べると音の粒がぼやけていて何枚かベールを被せたような音に感じる。
ただ、MS400のボワつくけれど豊富な低音はやっぱり僕には魅力で、ZX700にもう少し低音があればなぁ・・と思わないでも無い。まあ、しばらくは通勤のお供として聴いてみようかと思う。

追記(2010/10/12)
通勤や外出時に使ってみたけれど・・う〜ん、やっぱりこの低音の無さは致命的かも。おまけにボーカルがやけに近い。静かなところでボリュームを控えめにして聴くと透明感のある良い音なんだけど、電車で使えなきゃポータブルとしてはダメです。どうやらお蔵入りしそうです。